政府は、新型コロナウイルス対策で京都や東京など10都道府県に発令している緊急事態宣言について、沖縄を除き、20日の期限で解除することを決めた。

 京都など関西3府県を含む7都道府県は7月11日まで、まん延防止等重点措置に移行する。

 新規感染者数などの指標は改善した傾向がみられるが、医療の負担軽減は十分とは言えない。東京では患者の減少ペースが鈍化し、感染力が強い変異株の脅威が指摘される。感染のリバウンドをさせないよう、政府は必要な対策を尽くさねばならない。

 約2カ月に及んだ3度目の緊急事態宣言では、酒類を提供する飲食店への休業要請が対策の柱だった。政府は重点措置移行に伴い方針を転換し、飲食店に対する午後8時までの営業時短要請は継続した上で、酒類提供は午後7時まで容認するとした。

 厳しい経営環境が続く飲食業界に配慮した形だが、飲酒時の会話による飛沫(ひまつ)拡散を防ぐ対策の緩和には不安が残る。

 酒類提供は感染対策を講じることを条件とするが、政府は新たに何が必要なのか具体的に示すべきだろう。時間を午後7時までとした判断の根拠も曖昧だ。

 知事の判断でより強い措置を上乗せできるとしたため、各自治体は対応を模索する。京都府の西脇隆俊知事は、政府が示す緩和要件を精査して酒類提供の可否を決めるとしている。

 飲食店に対する協力金の支給も滞りなく進めてほしい。

 医療体制の拡充も続ける必要がある。

 大阪や兵庫では一時期、重症者用の病床が足りず、入院先が決まらないまま死亡する人が相次いだ。病床や医療従事者の確保、自宅で療養する患者へのフォローなどの課題を再点検し、備えたい。

 感染力の高いインド変異株が少しずつ増えており、京都でも確認された。大阪では陽性率が上がっており、感染「第4波」前の状況と似ているとの声も聞かれる。

 切り札とされるワクチン接種は、高齢者では7月末までの接種完了を目指して進むが、64歳以下については緒に就いたばかりだ。

 東京五輪開幕が迫る中、菅義偉首相は「感染が再拡大し医療の逼迫(ひっぱく)の兆しが見られた場合は、対策の強化を含め機動的に対処する」と述べた。感染状況が悪化しそうなら、直ちに対策を見直し、緊急事態宣言に戻すこともためらうべきではない。