河川法に違反した農小屋やビニールハウスが設置されている桂川の河川敷農地(京都市西京区)

河川法に違反した農小屋やビニールハウスが設置されている桂川の河川敷農地(京都市西京区)

 京都市西京区の桂川右岸にある河川敷農地で、違法な小屋の設置や農機具の放置が長年続いている。農家が高齢化し、地元外の農家らに耕作を任せるなどした結果、資材を置いたままにするケースが増えたためだ。国は撤去要請をしているものの一掃されず、地元の農業団体が解決に向けて動きだしている。

 上野橋から阪急京都線鉄橋の約1・2キロには、国有地約6・6ヘクタール、民有地約9ヘクタールの農地が広がる。河川敷にはビニールハウスや農小屋が点在し、耕運機が置かれたままになっている場所もあった。

 河川敷での耕作は、許可を得れば法的な問題はない。しかし、河川法は、河川敷で治水上の支障となる工作物の設置や農機具などの放置を禁じている。洪水が起きた際に流出し、下流に危険が及ぶためだ。河川敷での耕作権を得ている農家35軒でつくる桂上野徳大寺野菜生産組合長の大八木秀明さん(71)は「少なくとも20年ほど前からこの状態が続いている」と語る。

 同組合によると、違法状態が続く理由は、農家の高齢化と後継者不足だ。国有地で許可を得た耕作者や民有地の所有者が、遠方の農家に農地を貸すようになり、貸農園を営む人も現れるようになった。結果、農機具を置くために小屋を建てたり、資材を置いて帰ったりするケースが目立つようになった、という。

 河川敷を管理する国土交通省淀川河川事務所(大阪府枚方市)は、2009年度から違法工作物の所有者に対し、文書や口頭で撤去に向けた指導を始めた。一部農家は応じたが、「農作業に必要なのですぐに撤去できない」「毎回、農機具を持ってくるのが面倒」との反論もあり、完全には進んでいない。同事務所は「所有者に説得の余地がある場合は、自主撤去を求めている」と、強制撤去には慎重な姿勢を続ける。

 同組合は19年度から対策に乗り出した。国有地でのまた貸し防止策として、河川敷での耕作を、国に許可を得た農家に限定する規約を定めた。また、高齢などの理由で管理ができない農家に対しては、組合員に耕作権を譲ってもらうよう働き掛けた。結果、20、21年度に、貸農園やまた貸しとなっていた2・7ヘクタールの耕作権が、組合員約10人に譲渡された。民有地についても対応を検討している。

 地元農家の男性(34)は今春から、貸農園だった農地0・1ヘクタールの管理を引き受けた。置かれていた木材や金属製のフェンスなど計約16トンを約1カ月かけて撤去し、「事情があって農業を続けられない人もいる。きれいな農地を残すためにも必要な取り組みだ」と話す。

 撤去費は男性が負担するなど、金銭的な課題もある。男性は「行政の指導だけでは限界がある。農地を維持するためにも、国には撤去を支援する手だてを整えてほしい」と要望する。