かつて違法民泊が横行していた京都市内。コロナ禍で様相は一変した

かつて違法民泊が横行していた京都市内。コロナ禍で様相は一変した

京都市が違法民泊の疑いで把握する施設の推移

京都市が違法民泊の疑いで把握する施設の推移

 無許可営業の疑いがあるとして京都市が指導する「違法民泊」が今年3月末、2016年の調査開始以来初めてゼロになった。違法民泊はかつて市内で横行し、市民の暮らしを脅かす「観光公害」の象徴とされてきたが、行政の対策強化や新型コロナウイルス禍に伴う宿泊客の激減で成り立たなくなったとみられる。

 違法民泊は、一般住宅に旅行客らを有料で泊める民泊のうち、住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法に基づく許可や届け出を経ていない施設を指す。京都市では条例で、民泊から一定の範囲に管理者の駐在を義務付ける「駆け付け要件」など独自の規制を上乗せしている。

 市などによると、違法民泊は訪日外国人客らの増加に伴い、15年ごろからごく普通の一軒家やマンションの一室などでの営業が増え始めた。騒音やごみのポイ捨てなど利用者と地域住民との間のトラブルが問題視されてきた。市が違法民泊の疑いがあるとして指導していたのは16年度末で222件、17年度末は260件に上った。

 市は違法民泊について、16年からホームページに通報窓口を設けた。庁内に施設の監視・指導などを担う約30人体制の専門チームも設置して対策を進めてきた。悪質な施設については京都府警に旅館業法違反の疑いで刑事告発したほか、民泊仲介サイトに対して違法民泊の掲載を取りやめるよう観光庁を通じて要請するなどした。

 国も対策強化を推し進めた。18年6月の民泊新法の施行とともに、旅館業法を改正し、政令指定都市などに違法疑いの施設への立ち入りや営業停止の緊急命令などの権限を与えた。こうした効果もあり、18~20年度で市内約1600施設が営業中止・撤退に追い込まれた。市が指導を継続する施設は18年度末で8件、19年度末で2件にまで減り、20年度末でついに0件となった。

 市民などからの通報自体も減少した。昨年度は38件と過去最少となり、21年度も4月末現在で1件にとどまる。市は新型コロナによる宿泊需要の減少も違法民泊の抑制の一因になったとみており、今後の動向を注視する。

 市医療衛生センターは「コロナ収束後に宿泊需要が高まり、再び違法民泊が生まれる恐れもある。許可施設の定期的な指導も継続して安全な市民生活につなげたい」としている。