地価は経済的な活力を映す鏡と言われる。人が集まり、経済活動が盛んな場所ほど地価は上がる。

 国土交通省が発表した今年1月時点の公示地価は、回復基調が鮮明だ。三大都市圏以外にも上昇傾向が広がり、地方圏の全用途平均はプラス0・4%と1992年以来27年ぶりに上昇に転じた。実際の需要に基づく地価の改善ならば、新たな投資や消費を呼び込む好循環につながり、歓迎したい。

 公示地価の全国全用途平均は1・2%のプラスと4年連続で上昇した。三大都市圏を除く地方圏は住宅地や商業地などの平均地価が前年の横ばいからプラスとなり、バブル崩壊後長らく続いたマイナスから脱したとみられる。

 金融緩和による好況に加え、地方の主要都市でも低金利で不動産投資が活発化し、増え続ける訪日客を狙ったホテルや店舗の建設ラッシュが押し上げたようだ。定住促進や市街地の再開発など人を呼ぶまちづくりも功を奏したと言えよう。地価上昇を持続的な動きにできるかの正念場だろう。

 京都や滋賀も商業地の上昇が目立った。とりわけ訪日観光客でにぎわう京都は宿泊施設などへの需要が際立ち、上昇率は全国2位の9・7%。バブル景気に突入した1987年ごろの高水準だが、京都市内では暮らすために利便性の高い土地を取得するのが難しい状況なのが気掛かりである。

 一方で、地価の上昇は再開発が進む地域や観光地に限られ、交通の不便さや人口減で浮揚の機運をつかめない地域では下落が続く。地方圏の調査地点のうち48%は下落、19%は横ばいであり、地価回復が全国津々浦々に及んでいるとは言い難い。国は二極化の拡大に目配りする必要がある。

 国は昨年、京都市や大津市など82市を「中枢中核都市」に選んで新たな経済圏とし、人口流出を食い止める構想を打ち出した。周辺市町村では「ミニ一極集中が起きる」との懸念が強く、地価に表れた格差を助長しないか心配だ。

 地域経済の低迷が住民サービスや利便性の低下を招き、若者の人口流出が加速する悪循環を断ち切らねばならない。一朝一夕にはいかないが、地に足のついた振興策が、国や自治体には求められる。

 訪日客の増加は過去最多のペースだが、今秋に消費増税を控え、景気回復にも陰りが見え始めた。実需を伴わない投機的な不動産売買が過熱しないかも警戒が必要だろう。地価の動向には、今後も特段の注意を払いたい。