【資料写真】京都大のiPS細胞研究所の建物(京都市左京区)

【資料写真】京都大のiPS細胞研究所の建物(京都市左京区)

 ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて新生児と同じ段階まで成熟した心筋細胞を作ることに成功したと、京都大iPS細胞研究所のグループが発表した。実際の心臓に近い細胞を再現できたことで、再生医療や創薬研究への応用が期待される。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに21日掲載された。

 これまでもiPS細胞から心筋細胞を作ることはできたが、通常の培養方法では胎児段階に相当する未熟なものに限られていた。心疾患の研究や正確な薬効試験などに向け、一定以上に成熟した細胞が有用と見込まれていた。

 同研究所の吉田善紀准教授らは、心筋細胞の成熟度を示すトロポニンというタンパク質に着目。iPS細胞から心筋細胞を作製する際にトロポニンを観測し、約9千種類の化合物との反応を確認した。その結果、ミトコンドリア機能の制御に関わる化合物ERRγ作動薬が、新生児並みに構造や代謝機能が成熟した心筋細胞を形成する効果のあることが分かった。また成熟に関わる遺伝子の発現も上昇していたという。

 吉田准教授は「成人型の心筋作製に向けた大きな一歩になる」と話している。