近江八幡市で2017年、男女5人が共謀して知人男性を監禁して衰弱死させるなどしたとされる事件で、殺人や監禁致傷の罪に問われた飲食店経営井坪政(しょう)被告(30)=堺市=の裁判員裁判で、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)は22日、判決(求刑懲役30年)を言い渡す。焦点は事件の背景と特殊な人間関係が構築された経過の解明だが、主犯とされる井坪被告は、地裁が共犯者の判決で認定した事実を否定、無罪を主張し、検察側と真っ向から対立している。

 「不可能なことはない。逆らうなんてとても(できない)」。共犯者の女は自身の公判でこう述べ、井坪被告への過信と畏怖を示唆した。

 公判での検察側の主張などによると、井坪被告は、トラブルの解消や生活の面倒をみるなどと言葉巧みに被害者や共犯者に近づき、反社会的勢力との接点をちらつかせながら支配を強めた。監禁被害者や共犯の女2人との共同生活という特殊な関係の構築には、容赦のない激しい暴力が伴ったという。

 だが井坪被告は、飲食や行動の制限▽スタンガンによる感電▽汚物を無理やり口にさせる▽つまようじを頰に突き刺す▽性的・経済的虐待-など被害者に対する行為をほぼ否定。日常的な暴力や支配はなかったとした。

 共犯者4人は殺人罪やほう助罪などで懲役20~11年の判決を既に受けており、全員が「井坪被告が犯行を主導した」と口をそろえた。この点について、井坪被告は「無理な取り調べで言わされている」と反発し、共犯者の証言は信用できないと強調した。被害者を「家族同然」と表現、衰弱した際も病院で受診するよう促したが、本人が断ったとし、「亡くなった時は悲しかった」と振り返った。死亡の原因は共犯者の暴力にあると説明した。

 井坪被告は公判で、監視カメラを設置した理由を「(被害者が)お化けが出ると言ったため」と述べた。被告人質問では、被害者の死因とされる細菌性肺炎について「自分で調べたが、遺体から検出された細菌は複数ではないか」と、検察側の証拠に疑義を呈して撤回させるなど、多弁に反論してみせた。

 起訴状では、共謀し、堺市で1年近く監禁した無職渡邉彰宏さん=当時(31)=を近江八幡市の民家に連行して監禁を続け、17年8月17日に細菌性肺炎で病死させた。また、別の知人男性(39)を17年11月まで堺市で4年間監禁し、治療約2カ月の傷害を負わせた、としている。