アルツハイマー病の検査機器について記者会見する田中氏(22日午後2時4分、京都市中京区・島津製作所)

アルツハイマー病の検査機器について記者会見する田中氏(22日午後2時4分、京都市中京区・島津製作所)

島津製作所

島津製作所

 計測機器メーカーの島津製作所(京都市中京区)は22日、アルツハイマー型認知症の原因候補物質を微量の血液から測定する装置を国内の検査機関向けに発売した。ノーベル化学賞受賞者で同社エグゼクティブ・リサーチフェローの田中耕一氏が開発した分析手法を用い、脳内での蓄積状況が発症に関わると考えられるタンパク質「アミロイドベータ」の関連物質を測定する。これまで受託分析で使用してきた技術を世界で初めて製品化した。

 アルツハイマー型は、認知症の7割近くを占めるとされる。アミロイドベータが発症の20年ほど前から脳内に蓄積。その後、異常タウタンパクの発生で神経細胞が死滅し、認知機能が低下すると考えられている。

 発売した「アミロイドMS CL」は、田中氏が2002年にノーベル賞を受賞した理由にもなった、タンパク質をイオン化して構造解析する手法を採用。被験者から採取した血液に含まれるアミロイドベータの関連物質「アミロイドペプチド」を質量分析計で測定する。

 これまで蓄積の有無を調べるには陽電子放射断層撮影(PET)装置を使用したり、脳脊髄液を採取したりする必要があったが、血液の測定だけで済むことによってコストや被験者の負担を抑えられる利点があるという。

 昨年12月に医療機器の承認を受けたが、学会が監修した指針に基づき使用する必要があるため、現時点では、測定によって得られたデータは診断の補助的な情報としてのみ使用できる。今後、子会社の島津テクノリサーチ(中京区)などの受託分析に用いてデータを蓄積し、診断にも使用できるよう変更申請を目指す。

 アルツハイマー病を巡っては、製薬大手エーザイ(東京)などが開発した根本治療薬「アデュカヌマブ」が米国で承認され、国内でも審査が進んでいる。島津製作所の分析手法や治療薬の研究が進展すれば、認知機能が低下する前に発症リスクをとらえ、予防的な治療を行うことができるようになる可能性も出てくる。

 島津製作所本社で記者会見した田中氏は「今後も改良を積み重ね、世界全体で解決すべき大きな課題である認知症に対し、より多くの貢献をしていきたい」と述べた。