「八坂の塔」が望める京都幽玄のチャペル(京都市東山区 )

「八坂の塔」が望める京都幽玄のチャペル(京都市東山区 )

 婚礼業界が婚姻件数の減少や結婚式を挙げない「ナシ婚層」の増加といった逆風に直面する中、京都市内で式場が新規オープンし、大型のブライダルイベントも催される。観光都市であることから遠方の親族や友人を招きやすく、古都ならではの雰囲気も味わえるため、京都での挙式ニーズが根強いことが背景にある。ナシ婚層を対象にしたサービスも登場するなど、各式場は地の利に加えて知恵も絞っている。

 「八坂の塔」で知られる京都市東山区の法観寺近くに25日、ハワイでのウエディングを手掛けてきたザ・セイリング(東京都)が婚礼式場や料亭を備えた複合施設「京都幽玄」をオープンさせる。かつて旅館だった築100年超の建物を改装し、窓から八坂の塔が見えるチャペルや、格天井(ごうてんじょう)の披露宴会場を備えた3階建ての新館を建設した。
 一帯は「ザ ソウドウ東山京都」など3軒の婚礼式場がひしめく「激戦区」だが、和の趣や伝統を求めるニーズを捉え、格式の高さをアピールできることから立地を決めた。既に来年2月までの予約が約100組にのぼるという。松本小次郎社長は「エリアでの競争は激しいが、塔の近さや要望へのきめ細かな対応でお客さんを取り込みたい」と話す。
 結婚式場紹介サービスサイト「ハナユメ」を運営するエイチームブライズ(名古屋市)は24日、京都での理想の結婚式選びを後押しするため、京都最大規模のブライダルフェスタをみやこめっせ(左京区)で催す。
 同社によると、2016年9月から17年8月に同社のサービスを利用した全国約5300組のうち、居住地の都道府県以外の式場を選んだカップルは27・7%。そのうち41・5%は京都の式場を選んだことから、同社社長室は「京都エリアのニーズは他地域より高い」と見る。
 一方、婚姻しても「お金を他のことに使いたい」「セレモニーが苦手」などの理由で挙式や披露宴を行わないナシ婚層が年々増えているとみられ、式場にとっては課題だ。
 リーガロイヤルホテル京都(下京区)は9月から、子どもができたことを理由にナシ婚を選んだ夫婦向けのサービスを開始した。打ち合わせ時にベビーシッターを手配したり、挙式時にベビー衣装を貸し出したりと、母親目線の工夫を凝らした。挙式のハードルを下げ、潜在需要を掘り起こす狙いだ。
 リクルートブライダル総研(東京都)が15年4月~16年3月に結婚した20~40代の男女1500人を調査したところ、挙式と披露宴を行わなかったナシ婚層は32%を占めた。ただ、詳しく分析すると、実際には親族中心の食事会や写真撮影会、友人とのバーベキューなど何らかのイベントは行っていた。
 同総研の鈴木直樹所長は「多様化する価値観に対応する柔軟性や、さまざまな価値観に基づいた結婚式があることの情報発信が求められる」と話している。