京都府立医科大の内田智士准教授

京都府立医科大の内田智士准教授

 「子どもへの新型コロナウイルスワクチン接種にリスクはあるのでしょうか」。6月から国が接種対象を12~15歳に拡大したことを受け、こんな質問が京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。京都府内で最初に接種が始まった伊根町には「危険だ」といった抗議電話が町外から殺到するなど波紋が広がった。この年代に接種することの有効性や安全性について、新型コロナワクチンに詳しい京都府立医科大の内田智士准教授(医系化学)に聞いた。

■不安は当然だが、「不妊」批判に根拠なし

 ―12歳~15歳への接種に対し一部で不安や反対の声がある。どう評価するか。

 「安全性や有効性については、米ファイザー社による臨床試験でしっかりと確認されている。有効性は、12~15歳の約2千人でワクチンを接種する人と生理食塩水を接種する人に分け、2回目の接種から7日以降の発症の有無を比較した結果、100%の効果があった。副反応疑いが出る割合も、16~25歳と同様だった。接種が進むイスラエルや米国などでは、まれに若い男性を中心に心筋炎の報告があるが、いずれも軽症で回復している。他に若年層について、他の年齢層と比べリスクが大きいといった報告はない」

 「一方で、どの年代にも当てはまることだが、新型コロナワクチンは緊急承認されてまだ半年で、長期的な影響の有無は実証できていない。さまざまな検証をした上で、現時点では想定されるリスクはないが、今後何かある可能性がゼロとは言えないというのが専門家の見解だ」

 ―接種を始めた自治体には、「生殖機能に影響がある」など接種に反対する声が寄せられた。

 「繰り返すが有効性や安全性については16歳以上と同様に確認されている。しかし一般論として、成長過程の小児に新しいワクチンや薬を投与することには慎重になるもので、不安は当然だろう。ただ国内で使われているファイザー製やモデルナ製の『mRNAワクチン』が遺伝子を傷つけることは考えられない。『不妊につながる』などという批判に科学的根拠がないことはきちんと理解すべきだ」