永守重信会長からCEOを継承した関潤社長(京都市南区・日本電産)

永守重信会長からCEOを継承した関潤社長(京都市南区・日本電産)

 モーター大手の日本電産(京都市南区)で半世紀近く経営を率い、1代で連結売上高1兆円を超える巨大企業グループをつくり上げた永守重信会長(76)。強烈なリーダーシップで組織を統率し、教育や医療への巨額寄付など社会貢献でも知られるカリスマ経営者から最高経営責任者(CEO)を引き継いだ関潤社長(60)が、京都新聞社のインタビューに応じ、最大の任務である連結売上高10兆円の目標達成に向けた対策や経営方針を語った。

 ―永守会長からCEOという大役を引き受けました。

 「『カラオケですごく上手な人の後に歌う心境。でも、実は僕もうまいと思っている』。4月の発表でこう話した通り、経済界のスーパースターの後を継ぐのは緊張する。だが永守会長の『10兆円を一緒にやろう』という言葉に魅了されて私は来た。難しさは覚悟しているが、恐らく会長1人では10兆円に届かない。私1人でも無理だ。だけど2人なら何とかいけると考えている」

 ―昨年4月の社長就任から1年余です。

 「今年3月に会長から『CEOを譲ろうと思っている』と突然言われた。想定よりも早くて驚いたが、そのつもりで日本電産に来たため、全く違和感はなかった」

 ―2人の仕事はどう分担するのですか。

 「分掌はあえて曖昧にしているが、CEOが事業の全執行の責任を負う。ただ一度に全てを譲り受けるのは難しく、会長が見てきた精密小型モーターなどは徐々に移管される。シームレス(円滑)な引き継ぎがテーマだ」

 ―現在の経営体制の強みは何でしょう。

 「スピードだ。現在の社内の最高意思決定機関は会長と私が週1回開く『1オン1』の会議。余計な会議はないが、この会議は重圧が大きい。経営者として本当に高めたいのは株式の時価総額。売上高3兆円になれば時価総額は軽く10兆円を超え、日本で5本の指に入るだろう。大事なのは収益に大義が伴っていることだ。うちの省エネモーターが広がれば世界の消費電力を低減できる。われわれの成長が温暖化防止に直接つながる」

 ―永守流経営の何を受け継ぎ、どんな経営者を目指しますか。

 「変えるもの、変えないものを明確にしたい。変えないものの代表がスピードだ。常に一歩上を目指す高い目線も維持する。マイクロマネジメントのような会社の強さの根源部分も変えない。変える最大のポイントは、永守会長への依存率を下げることだ」

 「経営課題の対処や重要案件の判断を問題集だとすれば、これまで会長が全て答えを出してきたので、社員に考える習慣がなくなった。私と会長の間でずれが起きないよう、1オン1で答え合わせを毎週している。私が問題を解き、会長に見てもらうのだが、95%は正答している。だが3兆円、5兆円と企業が成長する中で、1人が何でも決める体制は良くない。1~2階層下の幹部も物事を決める訓練をしていく」