ゲーム文化を発展させた功績として初めて文化功労者に選ばれた宮本茂フェロー(京都市南区・任天堂)

ゲーム文化を発展させた功績として初めて文化功労者に選ばれた宮本茂フェロー(京都市南区・任天堂)

 本年度の文化功労者に選ばれた任天堂の宮本茂代表取締役フェロー(66)が29日までに京都市南区の本社で京都新聞などの取材に応じ、ゲーム開発の矜恃(きょうじ)を語った。宮本フェローは京都の地がゲーム作りに果たした役割やキャラクター戦略などにも触れ、新たな挑戦に意欲を示した。

 宮本フェローは、自ら誇りに思うことについて「30~45年前に一緒にゲーム開発を始めたメンバーがほとんど離れず、今も一緒に仕事をしていることだ」と強調。「ものづくりに対して安定感のあるチームを維持できたことは、会社や京都の力が大きい」と語った。
 園部町(現南丹市)で生まれ育ち、古里の風景や思い出は、数々の名作ゲームにも反映された。かつて本紙丹波版の記事で「スーパーマリオ」シリーズなどの舞台が、幼少期に駆け回った園部高近くの「こむぎ山」だと明かしている。
 任天堂入社後のゲーム開発では「東京に行かないと流行に付いていけないと考えた時期もあった」と告白。だが、自ら手掛けた「ドンキーコング」が米国で大ヒット。世間のトレンドに左右されず、「自分が面白いと思うものを作ればいい」とポリシーを築いた。
 京都の学校教育も、ゲームの開発思想に影響を与えたという。当時は「差別」について考える授業が多く、そこで学んだ視点はゲーム作りに貫徹。キャラクターや物語は、誰もが親しめる設定を大前提にした。最初の「ゼルダの伝説」を作った時も「ファンタジーだが、宗教色を一切つけないようこだわった。だから欧米で抵抗なく受け入れられた」と明かした。
 代表作「スーパーマリオブラザーズ」のマリオへの思い入れも強い。近年はゲーム以外に活躍の場を求め、来夏にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)の新エリア、2022年公開予定の映画にも登場させる。
 「マリオの好きな食べ物などを決めるとゲーム作りのしがらみになるので、できるだけ避けてきた。だがもっと幅広く展開したいと思うようになった」。大先輩であり憧れのモデルが、ウォルト・ディズニーが生んだ「ミッキーマウス」だ。
 「子どもを夢中にさせるおもちゃは、親の『敵』。でもディズニーの映画を見たいと言えば親は連れて行く。この差は何か。『任天堂なら安心』と言ってもらえないと、ディズニーには追い付けない」。ゲームを文化へと発展させた第一人者は、さらなる可能性を見据える。