性犯罪にあった幼い子の負担を軽減する司法面接のイメージ

性犯罪にあった幼い子の負担を軽減する司法面接のイメージ

 滋賀県内の運動教室で女児が指導者の男(69)から強制わいせつの被害を受けた事件で、司法面接の手法が活用された。女児の40代の母親が京都新聞社の取材に応じ、我が子が被害に遭ったことに対する心痛を語るとともに、大人の卑劣な行為に苦しんでいる子どもが被害を打ち明け、正確に伝えられるための環境づくりの大切さを訴えた。

 被害が明らかになったきっかけは、今年2月、同じ教室に通う夫が目にした不可解な光景だった。男が娘を教室外に呼び出していた。夜、夫に尋ねられた娘は「怒らへん?」と心配そうに確認すると、被害を打ち明けた。

 男は「よう頑張ってるで。有望や」と指導者の立場を利用し、数回にわたってキスなどを繰り返していた。昨年9月に通い始めて以降、指導者を信頼していただけに、娘の口から被害を耳にし、怒りがこみ上げてきた。

 目撃者のいない事件。「証拠がなくても対応してもらえるだろうか」。不安を抱えたまま、翌日に地元の警察に相談すると、すぐに司法面接の手法を教えられ、数日後に面接の当日を迎えた。「きちんと証言できるのか」。拭いきれない不安を抱えて娘を面接に送り出した。

 「司法面接」とは、虐待や性犯罪などの被害を受けた子どもに対し、警察、検察、児童相談所が連携し、代表者が極力少ない回数で被害を聞き取り、心理的負担を軽減する、比較的新しい制度。法務省によると、子どもが被害にあった事件での実施は2019年で1416件。

 今月4日にあった男の初公判では、娘が面接で話した「キスされて嫌だった」という言葉や、犯行内容の供述が証拠採用された。「よく頑張ったね」と思いがこみ上げた。

 最初は娘を守るため、事件を明らかにするべきか葛藤もあった。それでも立ち上がると、他にも被害者がいたことが分かった。「もっと早く被害が明らかになっていたら」と、さらに悔しさが募る。

 娘は被害を口にした時、「約束を守らなあかんと思っていた」と泣いた。犯行を口にできないよう仕向けられ、何カ月も小さな胸の内にしまい込んでいたのかと思うと、涙がこみ上げてくる。「もう性被害を受ける子どもが出てきてほしくない。被害に遭っている子どもがいるなら『大丈夫、言っていいんだよ』と言ってあげたい」

 大津地裁は24日、強制わいせつの罪に問われた男に懲役1年(求刑懲役2年)の実刑を言い渡した。判決によると、男は昨年3月~今年2月、運動教室で女児2人にキスをするなどした。大森直子裁判官は「指導者の立場を利用し、年少の被害者らの性的知識の不十分さや判断力の未熟さに乗じた卑劣な犯行で実刑が妥当」と判断した。