造形の力

 人と動物をテーマに造形した陶芸の新表現を紹介する特別展「Human and Animal 土に吹き込まれた命 21世紀陶芸の最先端」が6月29日、甲賀市信楽町の滋賀県立陶芸の森陶芸館で始まった。日米欧の気鋭の作家5人が土と対話しながら生み出した、知的で躍動感あふれる計200点からセラミックアートの現在を探る。

ベス・カヴェナー「シャドー・パートナー」

 人や動物といった原初からのモチーフに5人は心象風景や心理、本能を盛り込み作品に生命を宿らせる。

 人間の生きる姿を彫刻的な動物の造形として表現し、見る者を圧倒する米国のベス・カヴェナーは日本初公開だ。力強い瞳に優美な毛並みのウサギが縄で縛られた造形の「シャドー・パートナー」は呪縛や束縛を示す。華麗な雄鹿が自身の角の重みで身動きがとれなくなった「オバリヨン」は名声や成功を手放せない人の心理を表した。

ステファニー・クエール「オランウータン」
ステファニー・クエール「スナッブ・ノーズ・モンキーⅣ」

 ステファニー・クエールは自然豊かな英国・マン島で生まれ育ち、自然のままに、粘土が形になりたいままに任せて作品を創造する。「オランウータン」はどこかとぼけたしぐさに作家の温かいまなざしが映る。

キム・シモンソン「モス・プリンセス」
スーザン・ホールズ「シマウマ」
スーザン・ホールズ「ラビット・ファミリー」

 漫画などのサブカル表現や緑色に覆われた「モスシリーズ」で知られるキム・シモンソン(フィンランド)と、器を作るように内側から膨らませて動物を作り上げるスーザン・ホールズ(英国)は独特な世界観を生み出す。

奈良美智作品の展示コーナー「誰もいない土曜日の創作室(あなたはいるけど)」 Photo:shunsuke kato(NOTA&design)(c)Yoshitomo Nara
奈良美智作品の展示コーナー「誰もいない土曜日の創作室(あなたはいるけど)」 Photo:shunsuke kato(NOTA&design)(c)Yoshitomo Nara

 かわいさと毒気を秘めた子どもの絵が印象的な日本の奈良美智は、2007年から陶芸の森で粘土による創作を始めた。「誰もいない土曜日の創作室(あなたはいるけど)」という懐かしさが漂う空間に、新作やドローイングを含むこの10年余りの作品を並べる。

 会場には、人類学者で京都大前総長山極寿一氏による人と動物の関わりを考えるパネルも展示する。



【会期】6月29日(火)~12月19日(日) Part1は9月5日(日)まで Part2は9月18日(土)から 月曜と8月10日、9月21日休館(8月9日、9月20日は開館)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】滋賀県立陶芸の森陶芸館(甲賀市信楽町勅旨2188-7)0748(83)0909
【入館料】一般750円 高校・大学生560円 中学生以下無料(20人以上は団体割引あり インターネット割引券で10%オフ)
【主催】滋賀県立陶芸の森 京都新聞