芳田司(26)と柔道の出合いは、母千代(51)のひらめきから始まる。当時小学3年。活発な娘を「エネルギーが有り余っていた。ちょっと疲れてもらわないと困るようなパワフルな子だった」と千代。娘に合っている習い事は…、「一対一の競技で(勝敗を)他人のせいにできないスポーツ。自分のこともよく理解できるんじゃないか」と柔道が浮かんだ。

 父善英(51)はすぐに電話帳で柔道場を探した。自宅から1キロほどの近所に円心道場があった。司は両親の予想以上に柔道に夢中になり、学校に遅刻することはあっても稽古には遅れなかった。

 芳田家の思い出で「早朝ランニング」は欠かせない。長女の優(27)が五輪マラソン金メダルの高橋尚子さんに憧れて「私も走りたい」と言い、親子で走り始めた。毎朝6時に優と司、善英の3人で出発。京都御苑の外周約4キロを走った。後に加わる三女の真(20)を含め、3姉妹の小学校卒業まで続いた。「子どもがやりたいと言ったことは最後までやり通したい」という父の信念があった。

 善英の熱血指導は柔道にも及んだ。道場からの帰り道、習った内容を親子で復習した。「先生はこう言っていた」「言われたことを感じられているか」。次第に熱を帯び、口調が激しくなる。けんかと間違われて警察官に……