愛猫3匹と施設の自室内で写真に収まる野口外志子さん(右)夫妻。夫はこの数カ月後に亡くなった=2014年12月、「ライフ・イン京都」提供

愛猫3匹と施設の自室内で写真に収まる野口外志子さん(右)夫妻。夫はこの数カ月後に亡くなった=2014年12月、「ライフ・イン京都」提供

ニィニィを膝に乗せる三井茂雄さん(6月22日、京都市西京区・「ライフ・イン京都」)

ニィニィを膝に乗せる三井茂雄さん(6月22日、京都市西京区・「ライフ・イン京都」)

 ネコやイヌと一緒に入居できる老人ホームの開設が、京都府と滋賀県で相次いでいる。「ペットは家族」と考えていても、入所をあきらめたり、ペットを泣く泣く手放したりする人が多かった。ペット可の施設はまだ少数だが、高齢者が人生の終盤をかけがえのない存在と寄り添うための貴重な選択肢になっている。

 京都市西京区の介護付き有料老人ホーム「ライフ・イン京都」に入居する三井茂雄さん(86)は、トイプードルの「ニィニィ」との散歩が日課だ。「おかげで坂を上り下りする程度の体力は維持できています」。視力が衰え、外出をおっくうに感じるときもあるが、毎朝、ニィニィに鼻で膝をつつかれて散歩を催促されている。

 夫妻で入居すると同時にニィニィを「新たな家族」として迎えたが、数カ月後に妻を亡くした。それから11年間、常に寄り添われてきた。「ニィニィは私のかけがえのないパートナー。生きる力になっています」

 ライフ・イン京都は1986年の開所時からペットを受け入れてきた。関西では先駆けの施設の一つ。野口外志子さん(83)は2014年にネコ3匹と入居したが、当時は受け入れ先が限られ、大阪と兵庫、奈良3府県で入居を断られたという。

 16年開所のサービス付き高齢者向け住宅「自在館ぼたんぼこ」(京都市上京区)もペット可。18年開所の「わが家ひだまり」(滋賀県米原市)は要介護3以上が対象の特別養護老人ホームでは全国でも数少ない受け入れ施設だ。

 終末期の支えにしてもらう試みも。末期がん患者らに特化した有料老人ホームとして5月に開所した「ファミリー・ホスピス京都北山ハウス」(京都市北区)は、在宅に近い環境で心穏やかに最期を過ごしてもらうことをうたい、ペットも入居できる。

 衛生面や鳴き声、アレルギーなど他の入居者に影響を及ぼさないかとの懸念も根強い。ただ受け入れ施設の多くは、居室外への移動時にバッグに入れるなどのルールを設けたり、他の入居者に動物の好き嫌いを確認して部屋の配置を配慮したりしている。

 自在館ぼたんぼこ管理者の永原弘毅さん(52)は「鳴き声も許容の範囲内と他の入居者に理解してもらえ、大きなトラブルはない」という。

 核家族化が進み、高齢の夫婦のみや独り暮らしの世帯が増え、心のよりどころとしてペットを「家族」に迎える人は多い。しかし、施設入所が必要になった段階でペットの行き先が見つからないことも多い。

 ネコの保護活動に取り組む大津市のNPO法人「LOVE&PEACE Pray」。高齢者の施設入所を理由にした引き取り先の相談が、ここ数年で急増しているという。

 藏田和美代表理事(50)は「単なる『ペット』でなく生涯寄り添う『家族』と考え、入院を拒否する人もいる。高齢者支援の一環として、人と動物が一緒にいることができる選択肢をつくり、共に大切にされる社会を目指してほしい。生活の質(QOL)の維持・向上の効果を専門的に実証することも必要だ」と訴えている。