日本の国蝶で、環境省の準絶滅危惧種に指定されているオオムラサキ。京都市左京区大原で地域ぐるみの保護活動が続けられ、今年で15年を迎えた。6月26日には放蝶会が行われ、35匹が大空に舞った。
オオムラサキはタテハチョウ科の大型チョウ。幼虫はエノキの葉を食べ、成虫はクヌギなどの樹液を吸う。こうした樹木が茂る雑木林が各地で失われ、全国的に激減している。
2005年に大原小(現京都大原学院)の児童が道でチョウの羽を拾ったのがきっかけで調査が行われ、06年に地域の団体「大原里づくりトライアングル」が学校と連携し、保護活動を始めた。子どもたちが冬にエノキの落ち葉の中から幼虫を探し、愛好家らでつくる「大原のオオムラサキを守る会」のメンバーが飼育。07年には初めて放蝶会を行った。09年には高野川沿いにクヌギ90本を植樹し、生息環境を整えてきた。学校近くのエノキを囲った飼育網室で幼虫を育て、今年は約150匹が羽化する見込みだ。
放蝶会は新型コロナウイルスの影響で昨年は中止となり、2年ぶりに開催した。児童生徒や関係者ら約60人が参加。幼虫やさなぎを観察した後、校庭で35匹のチョウを放った。
守る会の藤野適宏代表(74)=宇治市=は「オオムラサキが広く集落に飛び交うことを願い、今後も活動を続けたい」と話す。同学院9年の松岡朋来さん(15)は「活動が長年続いているのはすごい。大原を訪れる人にもオオムラサキがいることを知ってもらい、保護につながれば」と期待を込めた。