新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人向けに用意したジュニアスイートの客室(京都市東山区・ウェスティン都ホテル京都)

新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人向けに用意したジュニアスイートの客室(京都市東山区・ウェスティン都ホテル京都)

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、京都市内のホテルが接種済みの人を対象にした料金割引などの優待プランを次々に打ち出している。長期化するコロナ禍の影響でホテルの客室稼働率は落ち込んだままのため、利用者の獲得を巡ってホテル間の競争が激化している。

 「こちらからは南禅寺が見えます」。ウェスティン都ホテル京都(東山区)の広報担当者が案内する「ジュニアスイート」の客室。「平安京ビュー」と呼ばれ、東山の景色が一望できる。ワクチンの接種券や接種済証があれば付き添いの家族らとともに中庭側の客室からアップグレードされる。ホテル内のレストランなどで使えるクーポン付きで「すでに数件の予約があり滑り出しは好調」という。

 この「ワクチン接種応援プラン」を企画したのは、同ホテルを運営する都ホテルズ&リゾーツ(大阪市)。京都市内の都ホテル京都八条(南区)や都シティ近鉄京都駅(下京区)を含む国内17ホテルで、宿泊料金やレストランでの食事代などを割り引く。

 京都市のワクチン集団接種会場となる国立京都国際会館(左京区)に隣接するザ・プリンス京都宝ケ池(同)では、接種を受ける人や付き添いの家族向けにデイユース(日帰り)プランを扱う。チェックインから最長4時間滞在でき、ケーキやドリンクを客室で楽しめる。担当者は「接種は真夏に行われ、高齢の方も多いので涼しくて快適なホテルを利用していただきたい」。2回の接種を終えた人を対象に2泊以上の連泊で1泊を無料で追加できる特典プランも用意した。

 コロナ禍での度重なる緊急事態宣言の延長は、書き入れ時の春の観光シーズンを直撃した。観光需要の回復は秋以降との見方が多かったが、職場接種や集団接種でワクチンの接種が着実に進んでいるため、京都のホテルは、最初に回復が期待される国内観光需要をいち早く捉えようと知恵を絞っている。

 京都駅前の「ザ・サウザンドキョウト」(下京区)は、日帰りから2泊3日までの宿泊で使えるレストランなどのクーポン付きプランを発売。京都花ホテル(東山区)も宿泊料金を10%割り引く。ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(東京)は京都市内4ホテルを含む国内16ホテルで、接種業務に当たる医療従事者も対象にした宿泊特典を設けた。

 多くのホテルは、コロナ禍を抜け出すためのワクチン普及を前面に掲げているが「普段ホテルを利用しない方に身近に感じてもらうチャンス。夏休みに向けて弾みをつけたい」(ホテル関係者)との思惑もあるようだ。