京都大学

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 生まれつきの大きなあざ「先天性巨大色素性母斑」の治療法となり得る手法を開発したと、京都大などのグループが発表した。放置するとがん化するリスクがある同母斑を治療する新たな選択肢になる可能性がある。米科学誌に1日、掲載される。

 先天性巨大色素性母斑は成人で直径20センチ以上に及び、2万人に1人の割合で発症する。放置した場合、がん化のリスクは数%。外科的切除が行われるものの、母斑をすべて取り切るのが難しい。近年は母斑を切除し、患者自身の表皮を培養してつくった細胞シート「ジェイス」を移植する手法もあるが、うまくくっつかないという課題があった。

 京大医学研究科の森本尚樹教授らは、細胞シートがくっつく生着率を向上させるため、表皮の深層にある真皮組織に着目した。真皮部分を含めて患者の母斑を切除し、その組織を10分間2千気圧で処理。すると母斑細胞は死滅した上で、真皮構造は保たれていた。さらにマウスを使った実験で、高圧処理した母斑組織と培養表皮を移植すると、うまくくっついた。

 こうした結果を基に臨床研究で10人の患者を対象に、切除して高圧処理した母斑組織と細胞シートの移植を実施。途中で離脱した1人を除く9人のうち、約1年後に7人で生着を確認した。再発もなかったという。

 がん化を防げているかは、さらなる研究が必要という。今回の手法は京大医学部付属病院で7月から、治験の枠組みで実施して新たな治療法としての承認を目指す。森本教授は「今回の手法はほかのがんの治療にも応用できるかもしれない」と話す。