長引く新型コロナウイルスの流行が、土地価格にも大きな影を落としていることが鮮明になった。

 国税庁が公表した2021年分の路線価は、標準宅地の対前年変動率が全国平均でマイナス0・5%となり、6年ぶりに下落した。

 目立つのが観光地や繁華街の落ち込みだ。

 コロナ禍でインバウンド(訪日外国人客)が激減し、飲食店などが休業や時短営業を求められたことなどから、土地需要が縮小していることがうかがえる。

 人口減少が進む地方でも下落が目に付き、都市部との二極化傾向は依然として続いている。

 地方再生の具体策がいっそう求められる。

 都道府県別の対前年変動率が下落したのは、京都、滋賀を含む39都府県。東京や大阪、愛知など13都府県がマイナスに転じた。

 都道府県庁所在地の最高路線価も、下落は前年の1都市から22都市に拡大した。

 下落率が大きかったのは、奈良市や神戸市、大阪市の中心部で、外国人観光客が多く訪れていた場所が多い。

 その傾向は、「お宿バブル」と呼ばれ、開発ラッシュで地価が急騰していた京都も同様だ。

 府内の対前年変動率は全国平均を上回るマイナス0・6%で、7年ぶりに下落した。

 最高路線価の減少率は、東山税務署管内が8・7%で最も大きい。ホテルやゲストハウスの需要が落ち込み、地価を押し下げたとみられる。

 これらの宿泊施設の中には昨春以降、休業や廃業に追い込まれ空き家状態となっているところも少なくない。周辺住民たちの間で防犯上の懸念が強まっている。

 観光客の急増と急減に翻弄(ほんろう)されてきた地域の将来像を、改めて見直すことが必要だろう。

 インバウンドの恩恵が少なかった地方でも、地価の下落傾向は止まっていない。

 深刻化する高齢化や過疎化のため、コロナ収束後も傾向は変わらず、都市部と地方の格差は一段と広がると予想される。

 政府は「地方創生」を掲げ、リモートワークの広がりを受けて地方への移住促進を打ち出しているが、そのためには医療や教育の充実、子育て支援など、暮らしの質を高める多角的な取り組みが重要になるだろう。

 コロナ後を見据え、住みやすいまちづくりのために、さらに知恵を絞らなくてはならない。