下流で死者を出した土石流の発生現場。危険な岩などは除去されたが、砂防ダム整備は頓挫した(京都府亀岡市畑野町)

下流で死者を出した土石流の発生現場。危険な岩などは除去されたが、砂防ダム整備は頓挫した(京都府亀岡市畑野町)

排水ポンプ用の電源柱。松本さんは「防災のため、できることを何でもしていきたい」と語る(南丹市園部町横田)

排水ポンプ用の電源柱。松本さんは「防災のため、できることを何でもしていきたい」と語る(南丹市園部町横田)

 京都府の丹波2市1町で死者1人、住宅の損壊や浸水計約130棟などの被害が発生した2018年の西日本豪雨から3年が経過した。崩れた護岸や崩壊した斜面などハード面の復旧はおおむね終わり、地域によっては防災対策が充実した。一方、予定していた砂防ダム新設工事を断念したり、住民の自主的な避難につなげるためのタイムライン作成が広がりを欠くなど、課題も残る。

 府南丹土木事務所によると、南丹エリアで被災した府管理の道路や河川、砂防ダム計139カ所の復旧は今年3月までに完了したという。ただ、死者を出した亀岡市畑野町の土石流発生現場では、砂防ダム新設事業が用地買収で難航し、昨年度で断念した。同事務所河川砂防課は「危険な岩の撤去などは実施しており、今後は下流の護岸工事などで災害に備える」とする。

 ソフト面では当時、避難勧告・指示を出しても避難につながらないことが課題となった。府は住民自ら避難行動をとれるよう、地域ごとに避難のタイミングを定める「タイムライン」の作成を奨励。これまでに亀岡1地域、南丹1地域、京丹波8地域が作ったが、新型コロナウイルス禍で住民が集まりにくいことも影響し広がりは欠く。災害を「自分事」として意識するためにもタイムラインの作成は有効とされており、「市職員が作成を支援できるよう研修を予定」(亀岡市)、「支援人材の派遣を府を通じ行う」(南丹市)など、今後も各地域に作成を促すという。

 分かりにくいとされた避難情報については今年5月、国が従来の「避難勧告」を廃止し、「緊急安全確保」「避難指示」「高齢者等避難」に再編するなど改善へ試行錯誤が続いている。亀岡市自治防災課は「データ放送や緊急速報メールなど行政としても避難情報の伝達手段を増やしている。住民には自ら身近な危険箇所を把握し、情報を取る意識を持ってほしい」と呼び掛ける。

 行政の支援制度や地域の備えは3年間で進展した面もある。亀岡市では、西日本豪雨以降の被災状況を踏まえ、従来は支援の対象外となっていた民有地の土砂災害復旧について、上限300万円を補助するなどの新制度を創設した。全国的にも珍しい制度で、被災者救済へ前進した。

 浸水や家屋損壊のあった京丹波町上乙見地区では新たにタイムラインを作成したほか、3年前の経験を基に、避難所をトイレや冷房などの使い勝手がより良い別施設に変更した。上流には砂防ダムも完成した。

 園部川の氾濫の危険にさらされている南丹市園部町の横田区では今春、非常時に排水ポンプを稼働するための電源柱を設置した。コロナ対策で避難所に大勢が身を寄せられないため、高台の住民が低地の住民に対し、浸水時には自宅に避難してくるよう日常的に声を掛ける取り組みも始まっている。同区の松本健防災委員長(71)は「防災のためできることは何でもしていきたい」と強調した。