細やか筆先、こもる愛

 入念に描き込まれた細部、的確な人物の表情、平安時代の絵に潜む現代のユーモア。連載小説「親鸞」の挿画で本紙読者にもおなじみの画家・山口晃の展覧会「山口晃ーちこちこ小間ごとー」が6日から、ZENBI鍵善良房(京都市東山区)で始まる。

《山鉾巡行》2013年/『婦人画報』2013年8月号 (ハースト婦人画報社刊)掲載 *前期(7/6-9/12)展示

 「ちこちこ小間ごと」は本人が考案した名称。展示は新聞や雑誌など十数媒体に描いた挿画の原画が中心で画家が手元で大切に保管していた。小さな作品に注ぐ愛情が感じられる。

《好きなカフエーのおじいさん》2013年/鍵善良房手提げ紙袋原画 *全期間展示

 ZENBI鍵善良房は今年1月にオープン。開館記念特別展として本展を開く。今西善也館長は和菓子老舗・鍵善良房の15代目当主でもある。2013年に「お菓子とお茶のある風景」をテーマに山口に作品を依頼した。描かれた5点のうち「好きなカフエーのおじいさん」は現在、同店の紙袋に使っている。そこから展覧会開催につながった。

《五木寛之著 新聞連載小説 『親鸞』挿画》2008年 *後期(10/19-11/7)展示

 学芸員の跡部祐子さんは「小さな絵をじっくり見ることで、山口さんのユーモアセンス、歴史の造詣の深さ、表現の幅広さを感じてほしい」と話す。丁寧な彩色や筆遣い、詰め込まれたアイデアは見応え十分だ。

《五木寛之著 新聞連載小説 『親鸞 激動篇』挿画》2011年 *後期(9/14-10/17)展示
《五木寛之著 新聞連載小説 『親鸞 完結篇』挿画》2013年 *全期間展示

 小説「親鸞」の挿画は全1052点のうち200点以上を4回に分けて展示する。「激動篇」「完結篇」など三つのシリーズから、シリアスなもの、漫画的なもの、判じ絵風のものなど多様な表現を見せる。

《新京都百景 志賀街道 子安観音》2017年/『京』No.193 (日本新薬株式会社刊)掲載 *全期間展示

 日本新薬の機関誌に掲載された「新京都百景」や、雑誌「和樂」に載せた、相国寺に並べた動植綵(さい)絵に見入る伊藤若冲と大典和尚の想像図など、京都ゆかりの作品も楽しい。本展のための描きおろし作品も展示予定だ。

画像はすべて(C)YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery



【会期】前期=7月6日(火)~9月12日(日)、後期=9月14日(火)~11月7日(日) 月曜休館(祝日は開館し、翌平日休館)
【会場】ZENBI―鍵善良房―KAGIZEN ART MUSEUM(京都市東山区祇園町南側)
【開館時間】午前10時~午後6時(入館は閉館30分前まで)
【入館料】一般1000円、学生(中・高・大)700円、小学生以下無料。4回入館できるパスポートは3000円
【主催】ZENBI鍵善良房、京都新聞
※「親鸞」挿画は7月6日~8月9日、11日~9月12日、14日~10月17日、19日~11月7日の4回に分けて展示する。
※新型コロナウイルスの感染状況によっては会期などを変更する可能性がある。詳細は館ホームページ参照。