おどり食いなどで知られるイサザ

おどり食いなどで知られるイサザ

伊佐津川河口付近で行われているイサザ漁(舞鶴市上安久)

伊佐津川河口付近で行われているイサザ漁(舞鶴市上安久)

 半透明の全長4、5センチほどの細長い体で水の中を泳ぎ回る。生きたままポン酢を付けて口に流し込むと、ぴちぴちと跳ねる不思議な感覚が広がる。京都府舞鶴市など丹後地域で春の風物詩として知られるイサザだ。

 標準和名はシロウオといい、シラウオと混同されがちだがハゼの仲間で別の種類になる。日本各地の沿岸に生息し、産卵のため春に川に上ってくる。生きたまま口に入れる「おどり食い」や卵とじなどで食べられる。水産物としては古くからあり、市郷土資料館所蔵で江戸時代の田辺藩の大工棟梁家の文書には藩主への献上品としてイサザの名前が記されている。

 市内では3、4月に伊佐津川、高野川、由良川などの河口付近で漁が行われている。道の駅「舞鶴港とれとれセンター」(同市下福井)内の鮮魚店の藤元達雄会長(71)は「昔は川に直接足を運び、袋に酸素を入れて売ってもらっていた。今は一合だが昔は一升単位で買い、漁獲量も需要も多かったのだと思う」と振り返る。

 伊佐津川では府の許可を得て地域の60~80代の男性6人がグループを作って漁に取り組んでいる。普段は漁師ではなくこの時期にだけ河川敷に拠点を設けてイサザを取るために集まる。漁を始めたきっかけは「親から引き継いだ」「通りがかりに見て興味を持った」などさまざまだ。

 漁では川の中に手作りの漁具を設置し、壁の役割を果たす「道網」を張り、幅100センチ、高さ30センチほどで箱のような「落し網」に誘導する。イサザは一度入ると出られない仕組みになっている。天気がよく水が澄んでいる日に多く取れるという。

 漁関係者によると、伊佐津川では1990年代は特に漁獲量が多かったが徐々に減り、現在はピーク時の3分の1ほどになっているという。今年も取れ始めたのが例年と比べ10日ほど遅いというが、関係者は口をそろえる。「あまりもうけにはならない。それでも漁が楽しくいつもこの時期が楽しみだ」