京都大

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 ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った気道の細胞を使って、体内に侵入した異物を除去する機能「線毛協調運動」を再現したと、京都大などのグループが発表した。線毛機能に関する細胞の働きを解析できるようになり、呼吸器疾患などの究明に役立つという。米科学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに8日、掲載された。


 線毛が生えている気道上皮細胞は複数で協調して線毛運動を行い、侵入した細菌などの異物を除去する。細胞同士がうまく協調しなければ、異物を十分に除去できず肺炎や気管支炎などの原因になる。試験管レベルでは細胞間の振動による協調を再現するのは難しく、線毛機能研究の課題となっていた。


 京大医学研究科の後藤慎平准教授らは、iPS細胞から気道上皮細胞に分化誘導する過程で、特殊なチップを用いて羊水と同様の液流刺激を14日間与えた。分化後の同細胞を解析したところ、細胞間で協調する振動とともに異物を体外に運び出す粘液の流れも再現できた。さらに難治性の線毛機能不全症候群の患者からiPS細胞を作り、治療薬の探索などに必要な疾患モデル細胞の作製に成功した。


 後藤准教授は「気道細胞の仕組みが明らかになったことで新型コロナウイルスの研究や創薬にもつながる可能性がある」と話している。