月額制の契約もできる「のうこつぼ」の墓。葬儀を簡素化した人向けに、納骨時に装花するサービスもある(神奈川県大和市・信法寺)=同社提供

月額制の契約もできる「のうこつぼ」の墓。葬儀を簡素化した人向けに、納骨時に装花するサービスもある(神奈川県大和市・信法寺)=同社提供

LGBTQの人や、そのパートナーの納骨を支援する児玉住職(京都市上京区・西陣庭苑)

LGBTQの人や、そのパートナーの納骨を支援する児玉住職(京都市上京区・西陣庭苑)

 近年、個人の多様なニーズに合わせたお墓を整備する動きが、全国で広がっている。引っ越しもできる月額制の墓や、LGBTQ(性的少数者)のカップルに対応する寺院、ペットと一緒に入れる霊園など、柔軟な考えを取り入れた墓が京都にも続々と誕生した。専門家は「地縁血縁よりも個人を尊重する社会へと変化する中、墓の多様化が進んでいる」と指摘する。

 月額3980円、好きな期間、全国の好きな場所でお墓を利用できます―。京都府を含む全国170カ所以上で永代供養墓を展開する「のうこつぼ」(東京都)は、月額制で手軽に墓を利用できる「サブスクリプション」方式のサービスを6月から始めた。

 毎月利用料を払えば墓石代や管理費が不要で、転居に合わせた墓の「引っ越し」や解約も自由。転勤が多い人や、自宅に遺骨がある人、先祖の墓とは別の墓を持ちたい人などのニーズに応えたという。

 永田康高代表取締役は「お墓は本来、家の近くにあるもの。昔の姿に戻そうとしている」と説明。「ライフスタイルの変化に合わせ、お墓にも多様な選択肢が必要だ」と力を込める。

 「血縁や婚姻関係がなくても同じ墓に入りたい」という思いに応える墓地もある。LGBTQのカップルが納骨しやすい態勢を整えているのは、京都市上京区の「善行院」が管理する樹木葬墓地「西陣庭苑」。同寺は墓地の企画販売を手がける「アンカレッジ」(東京都)と提携し、同社によるLGBTQと寺院向けのガイドラインを墓地運営に取り入れる。

 生前の意向が明文化されていなかった場合、「LGBTQやパートナーは遺族に納骨を拒否されたり、遺族とのトラブルを恐れて寺院側に断られたりするケースがある」(同社)。そこで同社は当事者団体や弁護士と協力し、ガイドラインを2019年に策定。遺骨の管理者や納骨する墓を生前に指定する書面を作り、寺院側に保管してもらう方法などをとりまとめた。

 また、善行院では、男女で戒名の付け方が異なる点にも着目。生前の意向に合わせた戒名を付けることも検討中だ。児玉純人住職は「お寺は全ての人にとって心のよりどころであるべき。社会の変化に合わせた方法を考えたい」と話す。

       ◇

 10年から墓の実態調査を続ける葬儀・墓関連メディア業の「鎌倉新書」(東京都)によると、近年は未婚の人や跡継ぎがいない人が増えていることもあり、継承や管理を必要としない永代供養墓、特に樹木葬の人気が高まっているという。広報担当の古屋真音さんは「お墓も住宅と一緒で、先祖代々受け継ぐものから、個人の意志や都合に合わせて購入するものへと変化してきた」と指摘する。

 特に近年ニーズが高まっているのは、京滋の霊園でも整備が進む「ペットと共に入れるお墓」だ。同社が今年実施したアンケート調査(墓購入者490人対象)では、墓選びの際に「ペットと入れる区画があること」を最も重視した人が、5%に上った。古屋さんは「住職の代替わりなどをきっかけに、寺や霊園側の意識も柔軟になってきている。個人のニーズに応える墓は、今後も増えていくのでは」と話していた。