スポンジ状に加工したシルクエラスチン(手前)。傷口に貼ることで治癒を促す=9日午後、京都市東山区・三洋化成工業

スポンジ状に加工したシルクエラスチン(手前)。傷口に貼ることで治癒を促す=9日午後、京都市東山区・三洋化成工業

 京都大と三洋化成工業(京都市東山区)は9日、治りにくい創傷の治療に役立てられる人工タンパク質について、7月から最終の治験を開始したと発表した。糖尿病で生じる潰瘍ややけどなどの患者への効果を確かめ、実用化を目指す。

 「シルクエラスチン」と呼ばれる遺伝子組み換えの技術を応用した人工タンパク質で、2010年から共同開発している。傷口に貼ると体温に反応して固まるため、細菌感染や乾燥を防ぎつつ組織の再生を促すという。動物実験や医師主導による治験は既に実施し、安全性は確認している。

 今回の治験は、糖尿病が原因の皮膚潰瘍や床ずれ、やけどなどの成人患者25人を対象とし、11月ごろまでに京大医学部付属病院など全国5施設で実施する。シルクエラスチンを貼付する治療と経過観察をそれぞれ14日間行い、治癒の程度などの有効性を検証する。

 22年度中にスポンジ状に加工したシルクエラスチンを医療機器として承認申請し、その後、実用化を予定している。9日に同社で記者会見した京大医学研究科の森本尚樹教授は「人工真皮など従来の治療法では感染症になって治癒が遅れてしまう悪循環が課題だったが、より高い効果が期待できる」とした。樋口章憲社長は「苦しんでいる患者さんの負担を少しでも減らせるように貢献したい」と話した。