トラックと正面衝突して、乗っていた2人が死亡した乗用車(右)=4月14日、京都市北区

トラックと正面衝突して、乗っていた2人が死亡した乗用車(右)=4月14日、京都市北区

シートベルトが衝撃を緩和する仕組みについて骨盤の模型を使いながら説明する名古屋大の水野教授(5日、名古屋市内)

シートベルトが衝撃を緩和する仕組みについて骨盤の模型を使いながら説明する名古屋大の水野教授(5日、名古屋市内)

 京都市北区で4月に乗用車とトラックが衝突して5人が死傷した事故で、専門家から「後部座席の危険性を浮き彫りにした」との指摘が出ている。前席で助かった2人とは対照的に、後部座席でシートベルトをしていた大学生2人が亡くなったからだ。エアバッグや高機能のシートベルトを後部座席に備えていない車が多く、運転席や助手席よりも死亡や負傷リスクが高い場合があるという。

 事故では京都産業大の学生4人が乗った車が制限速度(時速40キロ)を大幅に超える94キロで走行し、対向車線にはみ出してトラックと正面衝突。京都府警によると、後部座席の2人の死因は内臓破裂と頭部損傷だった。運転席と助手席はエアバッグが作動し、乗っていた2人は足の骨折など重傷だった。

 警察庁の統計では、車が絡む事故で後部座席の乗員が亡くなったのは昨年、全国で87人。うち4割はシートベルトを着用していた。後部座席のシートベルトは2008年の道交法改正で着用が義務化され、非着用者より死亡率は低いが、交通事故総合分析センターによると、頭や胸の骨折、内臓損傷で亡くなるケースが多いという。

 安全性が高いと思われがちな後部座席だが、車の安全に詳しい名古屋大の水野幸治教授(自動車工学)は「正面衝突の場合、前席よりも傷害を負う危険性が高くなりやすい」と明かす。

 前席のようにエアバッグを設置することが構造的に困難な上、シートベルトを正しい位置に着けないと衝撃で胸骨やあばら骨を折ったり、腹部に食い込んで内臓を圧迫したりする。

 加えて、衝突時にベルトを瞬時に引き込んで体を固定する衝撃緩和機能付きのシートベルトは、多くの車で運転席と助手席に装備されているが、後部座席は最新車種を除いて採用例が少ない。今回の事故で学生たちが乗っていた車も「衝撃緩和機能のベルトは後部座席になかった」(メーカー担当者)。

 水野教授は「後部座席の安全性は前席ほど重視されてこなかったのが現状だ。シートベルトの着用率に加え、後部座席の安全対策を考えていく必要がある」と訴えている。