居酒屋が通常営業再開を伝えるために店頭に張り出したメッセージ(7月9日、京都市内)

居酒屋が通常営業再開を伝えるために店頭に張り出したメッセージ(7月9日、京都市内)

「通常営業」を再開した居酒屋で乾杯する客(7月12日、京都市内)

「通常営業」を再開した居酒屋で乾杯する客(7月12日、京都市内)

京都府内の時短営業要請の経過と、協力金の支給状況

京都府内の時短営業要請の経過と、協力金の支給状況

 新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置が11日に京都府で解除され、府が飲食店に求めた営業時間短縮は12日から緩和された。府の要請は昨年4月以降、時短営業や酒類提供の自粛など目まぐるしく変わり、外食業界は対応に翻弄(ほんろう)されてきた。京都市内では協力金の支給が滞っていることもあり、要請に従わない店も続出している。事業者と市民双方に「我慢疲れ」が広がっている。

■「通常営業します」張り紙掲げ、深夜まで営業

 「お酒の提供も含め、通常営業を再開します。従業員約200人、その家族、親族、関係者も多数おります。彼らを守るという意思の下、踏み切りました」

 京都市の繁華街にある居酒屋は、こんな張り紙を6月中旬から店頭に掲げた。経営する会社の社長(32)は「厳しい現状を説明させてほしかった」と話す。

 会社は運営する約10店舗全てで6月上旬まで府の休業や時短要請に応じてきた。感染対策として計数百万円を投じ、各店舗で二酸化炭素の濃度センサーやアクリル板、手指消毒液などを設置したが、支給された協力金は7月9日時点でまだ今年3月分までという。

 支給時期が分かれば資金繰りの計画も立つが、それも見通せない。悩んだ末、3度目の緊急事態宣言解除後の6月21日から、午後11時ごろまでの「通常営業」に戻した。「本来なら要請に従うべきだと思うが、会社存続のためにはこうするほかなかった」。社長は苦渋の判断を打ち明けた。

■深夜営業店は満席、時短に従う店は先行き不安

 府の要請に従わない飲食店は、京都市で増加傾向にある。午後8時までの時短営業要請が出ていた9日、中京区の繁華街・木屋町は、午後9時を回っても複数のパブや立ち飲み店が営業を続け、満席状態が目立った。「開いてる店ありますよ」と通行人を呼び止める客引きや、看板を消灯して閉店したように見せて酒を出す店も見られた。

 一方、引き続き要請に従う店も多い。木屋町でバーを経営する40代女性は「協力金があるから受け入れられる」と話す。ただ、長引くコロナ禍で遅くまで飲む習慣が廃れたように感じるという。酒類提供店への休業要請に伴って4~6月に休んだ後は客がゼロの日もあり、「もう必要とされていないのかなと不安な気持ちになる」と漏らす。

■協力金の支給、数カ月待ち

 京都府の時短要請協力金の支給率(7月12日現在)は、3月分までは98%を超えるが、4月分は50%前後、4月25日以降の分は10%程度しかない。なぜ、協力金の支払いがこれほど遅れるのか。

 府産業労働総務課によると、協力金は時短要請の内容や支給額が変わる1~3週間ごとに申請を受け付けている。各期間の申請数は府内で約1万5千件、このうち京都市内は約1万件に上る。日曜を除く週6日は最大250人態勢で処理に当たっているという。

 同課によると、申請書類の7~8割は通過するが、2割程度は記入漏れなどの不備があり、やりとりに時間を要するケースがある。

■膨大な事務処理、複雑な計算式が影響

 さらに、4月上旬までの支給額は、協力日数に金額を掛けて算出する簡単な計算方法だったが、4月中旬以降は売り上げ減少額や店舗規模などに応じて変動する計算式が導入された。このため申請金額などを確認する手間が増え、処理スピードが停滞。現在も2万件超の申請が未処理という。

 こうした制度設計の大枠は国が決めており、府の裁量は期間の区切り方などに限定される。期間を細分化すると毎回の申請に対する事務量は膨大になるが、同課は「飲食店の資金繰りを考えると、短い期間ごとに支給できる手法が望ましい」としている。