安全保障関連法で自衛隊の任務として可能になった海外の邦人救出や警護活動について、政府はオスプレイなどの専用航空機を導入する方針を固めた。

 背景には、安保法で規定された任務実現に向けた安倍晋三政権の強い意向があるとみられる。

 だが、救出活動は自衛隊員の生命が危険にさらされる可能性が高い。海外での武力行使に発展するリスクもある。安易な派遣につながらないか気になる。

 導入の意義が問われよう。政府は目的や運用条件を丁寧に国民に説明し、装備や任務の在り方について国会で議論を深めてほしい。

 任務を担うのは、テロ・ゲリラ攻撃に対応する陸上自衛隊の専門部隊「特殊作戦群」だ。沖縄県・尖閣諸島など離島奪還作戦での使用も念頭にあるという。

 オスプレイは2016年12月に沖縄県名護市沖で不時着し大破するなどトラブルが相次ぐ。今回、導入計画が明らかになったオスプレイは米空軍の特殊作戦用輸送機CV22で、米軍横田基地(東京都)に5機配備されている。

 米軍普天間飛行場(沖縄県)に計24機入る海兵隊仕様のMV22に比べ、夜間の飛行能力に優れ、超低空飛行も可能とされる。一方で事故率も高いといい、自衛隊はこれまで全く使用していない。

 ただ、16年には熊本地震の支援活動に使われ、安全性への疑念を残したまま、国内での飛行は拡大を続けている。安全に運用できるのか課題は多い。

 危険性の極めて高い任務が具体化することへの懸念も根強い。

 邦人救出について安保法は「外国の現地当局が秩序維持に当たり、戦闘行為が行われない」ことなどを条件とする。憲法が禁じる海外での武力行使と判断されるのを防ぐためだ。

 だが実際に自衛隊が救出活動に入るケースは、相手が現地の軍や警察が制圧できないほどの事態も想定される。自衛隊が反撃すれば状況次第で武力行使になる恐れもありうる。

 海外での人質救出作戦は正確な情報が乏しく、厳しい環境での活動を強いられる。1980年に8人が死亡したイランの米大使館人質事件や、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)を巡る米軍の失敗例などの現実を直視する必要がある。

 政府は安保法の実績づくりへ前のめり姿勢だが、自衛隊員の生命、安全を最優先に考えるべきだ。憲法が規定する武力行使の「縛り」も忘れてはならない。