個性の絵師 百花繚乱

“新奇なものは面白い” 江戸中期の競演、130点

 伊藤若冲(1716~1800年)が活躍した江戸中期の京都には、他にも才能あふれる多くの絵師がいて個性を競い合った。福田美術館(京都市右京区)と嵯峨嵐山文華館(同)が17日から共同開催する「京(みやこ)のファンタジスタ-若冲と同時代の画家たち」は京都を彩った絵師たちの競演を前・後期合わせて約130点で見せる。

伊藤若冲「蕪に双鶏図」 通期展示F

 若冲は錦市場(中京区)の青物問屋に生まれたが、その時代、河原町から烏丸までの四条通付近には円山応挙、呉春、源琦(げんき)、岡本豊彦らそうそうたる絵師が居宅を並べ、広く注文を受けていた。

円山応挙「牡丹孔雀図」 前期展示A
円山応挙「黄蜀葵鵞鳥小禽図」 後期展示F
呉春「孔雀図」 前期展示A

 福田美術館の岡田秀之学芸課長は「床の間に必ず掛け軸を飾った時代。絵画の需要は大きかった」と話す。中産階級が豊かになり、文化の受け手の裾野が広がる時代でもあった。

 従来は狩野派など伝統の一門が定型の絵を描いていたが、写実の応挙や、文学性を秘めた曾我蕭白(そがしょうはく)らの個性が人気を集めた。他の絵師も市場を意識し、自分だけの表現を目指した。

曾我蕭白「柳下白馬図」 前期展示F

 背景には、新奇なものを「面白い」と受け入れる京都の風土があった。例えば祇園祭の鉾町は他の町内よりも目新しい懸装品を作ろうと、絵師と協力して知恵を絞っていた。

 福田美術館ではこれら百花繚乱(りょうらん)の絵師たちを紹介し、嵯峨嵐山文華館では虎、孔雀(くじゃく)、山水など同画題での比較を楽しむ。絵師たちの打ち出した個性を見比べることで、作品により深く親しむことができそうだ。

長沢芦雪「鐘馗図」 前期展示F
池大雅「菊花図」 後期展示F
与謝蕪村「筏士図画賛」 前期展示F

 Fは福田美術館、Aは嵯峨嵐山文華館で展示。すべて福田美術館蔵



【会期】前期7月17日(土)~8月30日(月)、後期9月1日(水)~10月10日(日)。火曜休館
【開場時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】第1会場=福田美術館、第2会場=嵯峨嵐山文華館(いずれも京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【入館料】福田美術館=一般・大学生1300(1200)円、高校生700(600)円、小中生400(300)円▽嵯峨嵐山文華館=一般・大学生900(800)円、高校生500(400)円、小中生300(250)円。かっこ内は20人以上の団体料金。2館共通券は一般・大学生2000円、高校生1000円、小中生550円
【主催】福田美術館、嵯峨嵐山文華館、京都新聞