日航ジャンボ機墜落事故の犠牲者を悼んで植えられた桜を眺めて語り合う石山寺の鷲尾博子さん(右)と黒沢完一さん=大津市石山寺1丁目、同寺境内

日航ジャンボ機墜落事故の犠牲者を悼んで植えられた桜を眺めて語り合う石山寺の鷲尾博子さん(右)と黒沢完一さん=大津市石山寺1丁目、同寺境内

事故で亡くなった能仁千延子さんの遺影(大津市石山寺1丁目・石山寺)

事故で亡くなった能仁千延子さんの遺影(大津市石山寺1丁目・石山寺)

 1985年の日航ジャンボ機墜落事故で妹を失った大津市の石山寺副座主の鷲尾博子さん(63)が25日、事故現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)管理人の黒沢完一さん(75)と同寺で初対面した。犠牲者を追悼する桜をめでて、鷲尾さんは「遺族のために事故を風化させない活動をしていただき、ありがとうございます」と感謝した。

 大津市石山寺1丁目の同寺境内には、事故直後に犠牲になった人と同じ数の520本の桜が植樹され、うち約280本が咲く。黒沢さんは知人3人と初めて訪れ、出迎えた鷲尾さんと早咲きの彼岸桜などの下で語り合った。

 2006年に管理人になった黒沢さん。慰霊の登山客が途絶える冬場にも尾根に足を運び「(犠牲者が)寂しくないよう、『来たぞー』と言うんです」と活動を紹介。鷲尾さんの妹で能仁(のうにん)千延子さん=当時(22)=の墓標の写真3枚を手渡した。

 鷲尾さんが地元住民への負担を気に掛けると、黒沢さんは「村で事故のことを重荷と感じる人はいない。責務と思い(尾根を)守っています」と伝えた。

 「少しでも感謝を伝えられて良かった」と鷲尾さん。妹の遺影をかばんにしのばせ、「桜がきれいに咲くと、妹や犠牲者の方が笑顔になったと感じる。今も胸の中で生き続けている」とほほ笑んだ。

 黒沢さんは「立派な桜だ。石山寺に負けないよう、御巣鷹の尾根にも多くの花を咲かせたい」と語った。