京都地裁(京都市)

京都地裁(京都市)

 撮影用かつらの所有権を巡り、松竹撮影所(京都市右京区)と老舗の製作会社「八木かつら」(北区)が対立している。双方がかつらの引き渡しを求めて15日までに京都地裁に提訴した。製作会社側は製造や管理・修繕を担っている自社に所有権があるとし、「業界では『かつらはリース品』が常識」と主張する。一方の撮影所側は「製作費を負担しており所有権がある」と訴える。

 製作会社側の訴状によると、同社は松竹撮影所から映画やドラマの撮影に用いるレンタルかつら一式の支度準備や修理、撮影現場での装着・取り外しなどの業務を継続的に受託。撮影所内のメーク室を賃借し、かつらなどの道具を保管していた。

 昨年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で撮影が次々に延期や中止となり、メーク室の賃借契約が同9月で終了することになった。同社が保管していたかつらなどを引き揚げようとしたところ、撮影所は「双方に所有権、使用権がある」と告げ、その後、「(撮影所に)単独で所有権がある」と主張し始めたとしている。双方の取引に契約書はなく、発注金額は撮影所側の予算で決められており、見積書に明細が記載されることはほとんどなかったという。

 今年4月、撮影所や第三者が無断でかつらを使用しないよう同社が申し立て、京都地裁が占有移転禁止の仮処分を決定。この申し立ての手続きで撮影所側は、制作費等を負担しているため、所有権があるなどと反論していた。

 撮影所側も、昨年11月に製作会社との間で交わした覚書が守られていないとして、同社に持ち出されたかつら69点の引き渡しを求めて京都地裁に提訴している。