金融庁が地方銀行など地域金融機関への監督指針を見直し、監視を強化する。収益悪化への危機感からだという。

 これまでは「自己資本比率」の水準など財務の健全性を重視していた。今後は将来の収益力など事業の「存続可能性」の向上に軸足を移す。自己資本比率が国内基準の4%を上回っていても対象となる。

 地銀の経営環境は厳しさを増している。人口減少や長引く日銀の超低金利に、米中貿易摩擦などの悪影響が追い打ちをかけ、収益力低下に歯止めがかからない。

 そうした中で、指針の見直しは逃げ道を断って経営改革を促す形だ。背景には、シェアハウス投資を巡るスルガ銀行の不正融資で、監督の在り方が厳しく問われたことがあるのではないか。

 今夏、問題があるとみられる地銀への検査に着手する見通しだ。対応が遅れれば業務改善命令を出し、経営責任を明確化する。厳しい環境でも存続できるビジネスモデルの構築を求めている。

 トップが責任を問われるのは当然だ。しかし、特効薬のような事業戦略は見当たらず、辞任しても再建が進む保証はない。

 心配なのは、「圧力」が行き過ぎることだ。地銀は地域の経済インフラでもあり、雇用を支える役割も担う。店舗縮小などで過度な効率化が進めば、住民の利便性低下につながりかねない。

 地域経済に禍根を残すような無理なリストラは避けるべきだ。利用者保護が徹底されているかの監視も必要だろう。

 金融庁によると、2018年3月期決算で貸し出しなどの本業が赤字となっているのは、地銀106行のうち約半数の54行で、23行は5期以上連続の赤字だった。

 地銀が1行しかなくても単独での存続が難しい地域が、青森、富山、島根など23県あるとの試算も公表されている。昨年4月以降、新潟県や三重県、関西圏で地銀再編が進んでいる。

 政府は経営統合基準を緩和してさらに再編を促す構えだ。金融庁幹部によると、今回の監督指針見直しの先には、地銀の「廃業」さえも見据えているという。

 超低金利政策の出口は見えないが、経営努力で増益を達成する地銀もある。業界では、事業継続支援などコンサルティング業務の強化を掲げる動きが目立つ。

 圧力が一律にならないよう注意が求められる。資金需要を高め、投資に向かわせるための政策誘導も必要ではないか。