「美ら湖」の沖縄そば

「美ら湖」の沖縄そば

出来たての沖縄そばを手に笑顔を見せる井上さん。普段はマスクを着用している(高島市勝野)

出来たての沖縄そばを手に笑顔を見せる井上さん。普段はマスクを着用している(高島市勝野)

 あっさりとしたスープと一晩かけてとろとろに煮込んだ豚肉が、麺に絡みつくようにして後をひく。井上祥子(いのうえ・しょうこ)さんは沖縄そばの魅力が詰まった一杯を、昨年7月から月1回のペースで、滋賀県高島市勝野のシェアスペース「白湖(はこ)」にあるキッチンを借りて提供している。「コロナ禍で旅行に出かけることができない人に、沖縄の雰囲気を味わってほしい」との思いを込める。


 店名は「美(ちゅ)ら湖(うみ)」。「中学の修学旅行で好きになった沖縄と、琵琶湖がある滋賀をつなぐ中継地点のような場所になれるように」と願う。プロの料理人としての経験はない。子どものころに「ケーキ屋さん」を夢見て、菓子作りに夢中になった。


 結婚して主婦になった20代には近所の人から地元産米や季節の野菜をもらうようになり、家庭での料理も好きになった。長男を通じた「ママ友」一家と再び訪れた沖縄で沖縄そばを味わったのを機に、飲食店を開く夢がふくらみ始めた。


 2018年12月、食品衛生責任者の資格を取得。20年4月からは「大溝の水辺景観まちづくり協議会」(同市勝野)の職員となり、大溝陣屋総門の観光案内所「大溝まち並み案内処 総門」(同)で働く。職場で店舗物件について相談したところ、同僚から運営するシェアスペースを提供してもらえることになり、長年の夢が実現した。


 試作を重ねた沖縄そばの味わいは、「まるで沖縄に来たみたい」「本場で食べた味よりもおいしい」と地元や市外からの来店者に評判となり、リピーターも少なくない。現在はシングルマザー。高校1年の長男と小学5年の次男も店のファンで、励みとなっている。「プロとは胸を張って言えないが、気軽に来てもらい、楽しく過ごせるような店にしていきたい」。同市安曇川町在住。