熊本地震に関する論文で判明した不正について説明する京都大の湊副学長(中央)ら=26日午後6時37分、京都市左京区・京都大

熊本地震に関する論文で判明した不正について説明する京都大の湊副学長(中央)ら=26日午後6時37分、京都市左京区・京都大

 京都大は26日、理学研究科の教授が筆頭・責任著者である2016年の熊本地震に関する論文で、データの改ざんや盗用といった不正があったと発表した。他の研究者が作った図を改変したり、無断で引用したりしていたという。論文は同年に米科学誌「サイエンス」へ掲載されたが、京大は教授に論文の撤回を勧告し、処分を検討している。

 不正を認定されたのは林愛明(りんあいめい)教授(60)。論文は、阿蘇山の地下にあるマグマだまりで地震による断層破壊が妨げられたとする内容だった。京都市左京区の京大で会見した潮見佳男副学長らは「公的資金に支えられている大学として関係者や国民におわびする」と陳謝した。

 京大によると、17年8月、通報窓口に「(林教授の)論文の図表に改ざんが疑われる」との通報があり調査を始めた。林教授らが現地調査で使ったノートなどを調べたところ、論文の結論を導くのに重要な六つの図のうち四つで、計10カ所の改ざんや盗用があった。東京大の教授が作った断層の動きの図を反転させて使ったり、別の研究機関の発表データを無断で引用したりしていた。不正と認定された所以外でも、熊本地震の発生月を誤るなど全体で数十カ所のミスがあったという。

 林教授は京大の調査に対して、「図表は間違っているが、結論は間違っていない」と話しているという。会見した湊長博副学長は「単純なミスを超えており、研究者としての基本的な注意義務を怠っていた」と指摘した。論文の共著者はいずれも不正への関与がないとしたが、「共著者が論文全体に責任を持つべきかは、議論していく必要がある」と述べた。

 論文については、本紙も16年10月21日の朝刊で報じている。