練習後の野球部員にパンを差し入れる塩見さん(右)=19日、福知山市堀・福知山成美高

練習後の野球部員にパンを差し入れる塩見さん(右)=19日、福知山市堀・福知山成美高

晴れ舞台で躍動する成美ナインに拍手を送る塩見さん(26日午前9時50分、兵庫県西宮市・甲子園球場)

晴れ舞台で躍動する成美ナインに拍手を送る塩見さん(26日午前9時50分、兵庫県西宮市・甲子園球場)

 福知山成美高(京都府福知山市)の野球部に約30年にわたって自家製のパンを差し入れている地元の男性が、甲子園のアルプス席から温かいまなざしでグラウンドを見守った。26日、選抜高校野球大会の初戦。試合は惜しくも敗れたが、「最高のプレーを見せてくれた」と選手たちをたたえた。

 パン製造販売店「ベッケルマルジ」=福知山市裏ノ=の2代目店主、塩見諒さん(76)。同高の前身、福知山商業高野球部に、長男の勇人さん(44)が入部したのがきっかけだった。毎日遅くまで練習する部員たちの姿を見て「少しでも力になれれば」と、売れ残ったパンを練習場に持ち込んだ。すると、部員たちから大好評。勇人さんの卒業後も、毎週のようにパンを差し入れるようになった。

 以来、同店のパンは元部員にとって“青春の味”のような存在に。当時を懐かしんで、プロや大学などで活躍するOBが来店することもしばしばで、「近況報告や昔話に花を咲かせ、いつも盛り上がってしまう」とはにかむ。

 試合を一週間後に控えた19日も、部員らの寮までパン約50個を届けた。ケースいっぱいの菓子パンや総菜パンの周りには、次々と部員たちが集まり「練習後のパンは最高」と、笑顔で頰張った。

 5年ぶりの大舞台には、孫や知り合いら数十人と一緒にバスで駆け付けた。試合前、守備練習を行う選手たちを「甲子園で躍動する選手はやっぱりかっこいい」と感慨深そうに見つめ、「相手は強敵だけど、練習の成果を出し切ればきっといい試合ができる」と期待を込めた。

 四回に逆転を決めた時は、「よく打った。このままの勢いで」と席から立ち上がって声援を送った。試合は1点差で涙をのんだ。「九州王者を相手によく頑張った。これからもパンを食べて、練習の糧にしてほしい」。夏に向けて、さらに成長する選手たちの姿を思い描き、惜しみない拍手を送った。