宇宙旅行の幕開けを感じさせる快挙が相次いでいる。

 おととい、米企業「ブルーオリジン」の宇宙船が有人飛行に成功し、民間の搭乗者4人が無重力を楽しんだ。11日には、やはり米企業「ヴァージンギャラクティック」の宇宙船が民間人4人を乗せて、試験飛行を成し遂げている。

 いずれも宇宙ビジネスを目指し、世界屈指の大富豪が起業している。ブルーオリジンは米インターネット通販大手アマゾン・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏、一方のヴァージンギャラクティックは著名実業家リチャード・ブランソン氏だ。

 両氏とも自ら宇宙船に乗り込み、夢をかなえたという。ブランソン氏は「信じられないような青い地球」に感動し、ベゾス氏も無重力状態を「穏やかで平和だった」と話している。

 これまで宇宙飛行士によって宇宙体験が語られてきた。はかないほど薄い大気の層、国境線のない大陸、黒い宇宙…。今年亡くなったジャーナリスト立花隆氏は著書「宇宙からの帰還」で、宇宙飛行士たちの世界観や宗教観、意識、感覚が大きく変わったことを、インタビューで聞き出している。

 そうしたことが民間人も体験できる。大航海から飛行機による世界一周を経て、人間は視野を広げ、認識を新たにしてきた。

 宇宙旅行の時代になれば、地球上の紛争や温暖化の問題などで、これまでと違った見方が生まれてくるかもしれない。人類の大きな転機にならないか。

 とはいえ、当面はよほどの金持ちでない限り宇宙体験はできそうにない。ヴァージンギャラクティックの料金は約2800万円、ブルーオリジンの搭乗権は最初の入札で約31億円の値が付いた。一握りの富豪との格差があらわになり、宇宙旅行に冷ややかな声もネットに出ている。

 これら2社のほかにも、宇宙飛行士の野口聡一さんを国際宇宙ステーションに運んだ米企業スペースXの宇宙船が、一般客を乗せて地球を周回する計画が進められ、日本の実業家が搭乗を予定している。

 ただ、目指す商業化には課題が残る。米連邦航空局の許可の下で宇宙飛行するが、安全基準や飛行ルールの確立が求められよう。乗客にとっても、宇宙用の旅行保険はなく自己責任となる。訓練や健康管理、トラブル対応などの準備が必要だ。

 その上で、多くの人が宇宙の旅を楽しめる日を待ちたい。