祖父の等さんと写真に納まる中学時代の池本(2016年、大阪府松原市)=家族提供

祖父の等さんと写真に納まる中学時代の池本(2016年、大阪府松原市)=家族提供

800メートルリレーで初の五輪に挑む池本=4月、東京アクアティクスセンター

800メートルリレーで初の五輪に挑む池本=4月、東京アクアティクスセンター

 競泳女子日本代表で京都府宇治市出身の中央大1年池本凪沙(18)=イトマンSS=が、大好きだった亡き祖父への誓いを胸に28日の800メートルリレー予選に挑む。「空の上から、ちゃんと見てくれていると思う。本番はタイムで引っ張りたい」。死別後に急成長し、五輪切符をつかんだ女子短距離のホープは約束の舞台で会心の泳ぎをささげる。

 池本は自他ともに認めるおじいちゃん子。幼少期から大阪府松原市の祖父・等さん(享年70歳)宅へ遊びに行き、水泳の成績を報告し、新しい水着を披露するなど慕っていた。

 しかし、別れは突然訪れた。中学2年だった2016年8月18日。がんを患っていた等さんが静かに息を引き取った。くしくも、新潟県で開かれた全国大会で、池本が現在の専門種目となる200メートル自由形に初めて挑んだ日だった。大会後、帰宅する車中で祖父の死を知り、涙が止まらなかったという。

 「五輪に出てメダルを取るから見守って」。池本は葬儀で最期の別れを告げる際、声に出してひつぎに横たわる祖父にはっきりと伝えた。父の裕二さん(48)は「漠然としていた夢が覚悟に変わったのだろう。あの姿は今でも忘れられない」と振り返る。

 祖父との約束を果たすかのように、翌年の全国大会で自由形の50メートルと100メートルを制し、ジュニア夏季五輪では自由形で3冠を達成。高校2年時には世界選手権に出場し、800メートルリレーのアンカーとして日本の五輪出場枠獲得に貢献した。今年4月の選考会で、同リレーの五輪切符を手にし、「おじいちゃん決まったよ、と一番先に伝えたかった」と話す。

 今春から親元を離れ、大学生活とトレーニングの両立に力を注いできた。五輪では自己ベスト更新を目標に「(墓前で)いい報告ができるようしっかり頑張りたい」。大舞台で成長した姿を届けるつもりだ。