接種希望者に問診票を手渡す高橋さん(綾部市西町3丁目、あやべ・日東精工アリーナ)

接種希望者に問診票を手渡す高橋さん(綾部市西町3丁目、あやべ・日東精工アリーナ)

 京都府綾部市の新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で、飲食業をはじめとした市内事業所の従業員らが運営を支えている。コロナ禍で仕事が減る中、接種の進行が経済活動に還元されるとの思いも持ち、接種する市民の案内役を務めている。

 市は6月から、あやべ・日東精工アリーナ(西町3丁目)で集団接種を開始。運営を委託した市内の旅行代理店・プラスツーリストを通じ、料理旅館や居酒屋、観光事業者などコロナ禍の影響を大きく受けた業界を中心に声をかけ、これまでに90人と契約を結んだ。

 接種会場で働く民間スタッフは半日で40人。黄色のビブスを着け、駐車場の整理や誘導、接種希望者の受け付け、証明書の発行を担う。市職員は統括、医療スタッフは問診や接種に専念できるため、効率的に業務が進むという。

 料理旅館「ふしみ屋」(並松町)の女将(おかみ)、高橋千鶴さん(65)も連日励む。メインの店舗は宴会や会食の自粛が続き、ほとんど予約がない状態という。昨年の客入りは「年間通して9割減」で、雇用を維持するにも清掃程度しかすることがなかった。スタッフ募集を聞き、従業員とともに参加した。

 接客のプロということもあり、案内はお手の物だ。来場者には顔見知りも多く、「自分たちが案内することで、安心してもらえたらうれしい」と話す。「地域への貢献ができるし、生活の足しにもなる。接種が進めば、店を使ってもらえる時も近づくと思う」

 このほか、帰宅支援をタクシー会社、地域別の高齢者の送迎はバス会社が担う。市保健福祉課は「民間スタッフの協力がなければ、集団接種は成り立たない」と話す。

 委託は集団接種の期間中、契約が更新される予定。本業が回復する事業者が増えれば、スタッフの追加募集もするという。