57年前も、開会前の東京はインフラ整備や会場建設の槌音(つちおと)の高さのわりには、都民のオリンピックへの関心はそれほど高くはなかった。都市の姿を変えるほどの大工事は全国からの出稼ぎの労働に支えられ、深刻な公害と人口増とゴミ問題があり、けっして明るい面ばかりではなかった東京オリンピックだったが、2021年の今回と決定的に違うのは、国も国民も経済成長の真っ只(ただ)中で明るい未来を信じ、ひたすら前向きに走り続けていたことだろう。