教育現場の負担増が目に見えるようだ。

 全国の小学校で2020年度から使われる教科書の検定結果を文部科学省が公表した。

 学校で教える内容を決めている学習指導要領が20年度から全面的に新しくなるのに対応した。

 5、6年生で学ぶ英語の教科書が新たに合格し、6年の理科のすべての教科書でコンピューターのプログラミングが盛り込まれた。

 教科書の分量は平均1割増となった。討論や発表、課題探求を重視し、子どもたちが主体的に深く学ぶよう促している。

 先生にとっても、児童にとっても、教えることや学ぶことが増えるのは明らかだ。教員の負担増はもちろん、子どもの学びが上滑りにならないか、心配だ。

 新学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、知識を活用した課題解決や新しい価値を見いだす能力の育成を重視している。

 教科書には身近な題材を使って子どもの関心を引くように工夫したものが増えた。

 平安時代の文化をキャッチコピーで表現するといった社会の教科書や、誰もが楽しめる新スポーツを考えよう、という国語教科書もある。算数や理科でも身近な題材で考えさせる内容が増えた。

 教科書会社は競って工夫を凝らした。問題は、ただでさえ忙しい教育現場が、こうした教科書を使いこなせるかどうかだ。

 教科書の課題を児童たちが調べ、議論し、自分の考えをまとめるのにはそれなりの時間が要る。先生の力量も問われる。余裕がないまま、教科書通りに取り組むだけでは、深い学びにつながらない。

 英語の教科書は聞く、話すが中心で音声教材を活用する。それでも専門的な訓練を受けていない多くの教員にとって負担増になるのは確実だ。600語以上も学ばせる必要性にも疑問が残る。

 社会科では、領土問題について、領土とするだけでなく「固有の領土」と書かせた。

 尖閣諸島に関して、「領土をめぐる問題はない」が「領土問題はない」に差し替えられた教科書もあった。

 各教科書の文脈に関わらず、統一を図ったのは、政府の意向が反映されたからだろう。

 そもそも、「問題が存在しない」という意味が、小学生に分かるだろうか。政府の立場を示すのは重要だが、子どもに現実を理解してもらうためには、もう少し工夫が必要だったのではないか。