滋賀県彦根市役所

滋賀県彦根市役所

 滋賀県彦根市が、新型コロナウイルスの影響を受ける飲食業者を支援するため昼食時間帯に市役所敷地内をキッチンカーなどに無料提供する事業について、出店申し込みに必要な誓約書に「災害時の炊き出しに協力する」との条項を盛り込み、業者側の抗議で撤回していたことが29日分かった。識者は「コロナ禍で本当に厳しい飲食業を支援するのに対価を求めるのは、政策の趣旨から外れている」と指摘する。

 事業は、コロナの影響に苦しむ市内の飲食業者の販売機会を増やす「ひこねランチ広場」で、30日にスタートする。持ち帰り昼食を市役所敷地内でキッチンカーやテントから提供してもらう。毎週金曜に最大8事業者が店を出す。

 出店申し込み時に提出する誓約書の6項目の一つに「災害など有事の際は、炊き出し支援等に協力します」との条項を入れていた。しかし、申し込みが始まった14日に飲食店主から「災害時は飲食店も大変。コロナ支援なのに、交換条件はおかしい」と指摘を受け、同日中にその条項を削除した。

 市の担当者は「飲食店の経営が苦しい中で負担を考慮できておらず、申し訳なかった。すでに誓約書を出した業者にも削除したと伝える」とする。

 炊き出し支援を求める誓約書の条項は、同様の事業を行っている甲賀市を参考にしたという。甲賀市は「災害などの緊急時は飲食店の協力も必要。決して炊き出しを強制するものでない」と説明する。一方、同様の事業を行う滋賀県は無料出店に対して協力条件を設けず、「あくまでコロナ禍の支援。事業者の負担をかけないようにしている」とする。

 地方行政に詳しい同志社大の真山達志教授(行政学)は「多額の事業費がかかるわけでもなく、対価を求める必要はない。大変な中で自主性が求められる災害時の活動を条件にするのもおかしい」と指摘する。