難病のため、血中のヘモグロビンを補う輸血をする女性。新型コロナのワクチン接種を受けられる医療機関を見つけるのに苦労した(16日、京都市内の大学病院)=女性提供

難病のため、血中のヘモグロビンを補う輸血をする女性。新型コロナのワクチン接種を受けられる医療機関を見つけるのに苦労した(16日、京都市内の大学病院)=女性提供

 新型コロナウイルスワクチンの接種を希望する難病患者が、ひときわ苦労を強いられることがある。かかりつけ医のいる病院が接種を行っていない場合、安心して接種を受けられる環境を整えるのに手間や時間がかかるからだ。京都の難病患者団体は病気を理由に医療機関から接種を敬遠される事例もあるとして、京都府と京都市に改善を求める要望書を提出している。

 京都市内の大学病院にかかりつけ医がいる神戸市の無職女性(45)は、日本に十数人しか患者がいない指定難病「遺伝性鉄芽球性(てつがきゅうせい)貧血」を患い、ワクチン接種に苦労した1人だ。この難病は酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンを体内でうまく合成できず、動悸(どうき)やめまい、疲れやすいといった貧血の症状が日常的にある。ヘモグロビンが1カ月で基準値の半分ほどに減ってしまうため4時間かかる輸血が毎月欠かせない。

 女性は、新型コロナに罹患(りかん)すれば重篤化する恐れが高いことからワクチン接種を受けると決めた。ただ接種時に何が起こるか分からないため、すぐに輸血できる環境が不可欠だった。ところが通院している大学病院は住民向け接種を行っておらず、家族が神戸市内の複数の病院に問い合わせたが「対応できない」「集団接種を利用してほしい」と返答された。

 医療機関を探し始めて約2カ月たった6月下旬。窮状を知った京都市議のつながりで市内の民間病院で接種を受けられることが決まった。かかりつけの大学病院と連携し、万が一に備えて救急搬送できる態勢も整えてもらうことができた。結果、7月中に2度の接種を受けられたという。

 だが、女性には釈然としない思いが残る。「なぜこんなにも苦労しないといけなかったのか。難病を抱え、接種してもらえる医療機関を見つけられず、諦めざるを得なかった人もいるはず。行政は希望する人全員が接種を受けられるというが、実態は違う」と憤る。

 そんな中、NPO法人京都難病連(上京区)は7月、難病患者らが主治医の管理下で接種を受けられるように求める要望書を京都府、京都市に提出した。ただ、住民向け接種を担う市は「かかりつけ医が接種を行っていない場合は集団接種や他の医療機関の個別接種を利用してほしい」との立場で、要望内容とは隔たりがある。

 京都難病連のもとには難病患者から「医療機関で接種を敬遠された」との声が複数寄せられているという。北村正樹代表理事(64)は「難病患者は新型コロナに罹患すれば重篤化するリスクが高い。自治体で対応できないならば、国が指針を示してほしい」と話している。