伝統である日本泳法の練習に取り組む京都踏水会の選手たち(京都市左京区・同会)

伝統である日本泳法の練習に取り組む京都踏水会の選手たち(京都市左京区・同会)

 8月2日から始まるアーティスティックスイミング(AS)で2大会連続のメダルを狙う日本代表の演技には、京で育まれてきた技が息づいている。1896年に創設され、120年以上の伝統を誇る大日本武徳会游泳部を前身にする京都踏水会(京都市左京区)の日本泳法の技術だ。同会は数多くのオリンピアンを輩出し、今大会には福村寿華(25)=井村ク、鳥羽高-近大出=が挑む。

 左京区出身の福村は物心つく前から踏水会のプールに通って基本から学び、小学1年から競技を始めた。「子どもの頃からやってきたことが今、生きている」と当時を振り返る。8人全員で組む大技のリフトを水中の最深部で支える役を担い「メンバーの体重を支え、浮き上がるには強い泳ぎの力が必要」と語る。

 同会は日本泳法の習得を進級条件に組み込んでおり、福村も4泳法と並行して取り組んだ。重点を置くのは立ち泳ぎで、中学時代には数キロの重りを腰に巻き、約8キロのバーベルを手で持って泳ぐ練習もあったという。「代表でも腰に重りを巻いて練習するが、慣れていたので他の選手より上手にこなせる」と笑う。同会で指導した石山加寿美ヘッドコーチ(60)は「ASの基本もスイミング。福村も日本泳法と4泳法をしっかり習得したことが生きている」と話す。

 同会は、江戸期に肥後藩(熊本県)で誕生した小堀流踏水術を取り入れてきた。流れのある川で確立された水術で、水を踏んで押し出すように泳ぐ「踏み足」が特徴だ。その動作はASとも共通点があり、同会の檀野晴一代表(72)は「現代のスポーツでも、武術の体の使い方やしなやかさは通じるところがある。脚の強さやスピードがあってこそ、ASのような競技への応用も効くのだろう」と語る。

 同会出身者では、奥野史子、立花(現姓宮川)美哉、武田美保ら多数が五輪でメダルを獲得した。現在のエース乾友紀子(井村ク、近江兄弟社高-立命大出、近江八幡市出身)も立ち泳ぎを学ぶため、中学生時代に踏水会に通った。学んだ指導者も多く日本代表の井村雅代ヘッドコーチも「踏水会にはいっぱい助けてもらった」。

 また、伝統の技は水球でも生きている。橋田舞子(日体大)と山本実乃里(秀明大水球ク)=ともに左京区出身=は中学卒業まで踏水会で基礎を磨いた。橋田は「体が水から高く上がり、強いシュートを打てる」と語った。