男子エペ団体決勝 ROC選手(左)からポイントを奪う宇山賢=幕張メッセ

男子エペ団体決勝 ROC選手(左)からポイントを奪う宇山賢=幕張メッセ

男子エペ団体で優勝を果たし、日の丸を手に喜ぶ(左から)山田優、見延和靖、加納虹輝、宇山賢の日本チーム=幕張メッセ

男子エペ団体で優勝を果たし、日の丸を手に喜ぶ(左から)山田優、見延和靖、加納虹輝、宇山賢の日本チーム=幕張メッセ

宇山賢

宇山賢

後輩にアドバイスを送る宇山。「フェンシングはだまし合い。自分がどうしたいより相手がどうしたいかを考える」(2017年、京田辺市・同大)

後輩にアドバイスを送る宇山。「フェンシングはだまし合い。自分がどうしたいより相手がどうしたいかを考える」(2017年、京田辺市・同大)

 東京五輪のフェンシング男子エペ団体で日本が金メダルを獲得した。メダル獲得に貢献した宇山賢(三菱電機)は、競技環境の充実を求め、「無職」も経験しながらプレーを続けた苦労人だ。4人目のリザーブ選手としての代表選出だったが、決勝でも出場して次々にポイントを重ねるエース級の働きを見せ、大舞台で輝きを放った。


 香川県出身。高松北高2年で全国高校総体を制し、2大会連続五輪銀の太田雄貴さんを輩出した同志社大に進学。全日本学生選手権のエペで史上初の3連覇を達成した。


 190センチの長身を生かしたスケールの大きなスタイルで、リーチを生かせるように剣の握り方を工夫したことで急成長した。「大学の練習は基本的に『自分で考えてやりなさい』というスタイル。自主性を重んじて人間性を成長させながらやるという風習が自分には合っていた」


 卒業後は家具量販店に就職したが練習との両立に悩み、2014年9月に退社した。きっかけは社会人1年目に開催が決まった東京五輪だった。かつてのインタビューに「その頃は中途半端だった。でも東京五輪が決まったから一度退職するという決断ができた」と語っていた。


 約1年間は無職だったが、日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」を利用し、三菱電機に入社。競技環境が整ったことで、19年ワールドカップアルゼンチン大会団体エペ優勝など世界の舞台で結果を残してきた。


 昨年は新型コロナウイルス禍にも見舞われた。五輪代表選考の最終戦が1年延期に。練習拠点が使えず、自宅待機を余儀なくされた。人との接触が限られる中、力を入れたのがプレー映像の分析だった。アナリストの指導を受けながら、得点パターンを数値化して把握するなど地道な努力を重ねてきた。


 音楽好きの一面もあり、得意のギターの演奏をインスタグラムに投稿することも。ベース、ドラムと多くの楽器をこなし、高校時代はライブを開いた経験がある。