京都大学(京都市左京区)

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 肺胞などに変化する性質を持つ肺前駆細胞をヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製してマウスに移植したと、京都大のグループが発表した。直径数百マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のファイバーを使って、高品質な肺前駆細胞の培養に成功。再生医療への応用が期待できる。国際科学誌バイオマテリアルズにこのほど掲載された。

 呼吸困難などが徐々に進行する「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」などの治療として、肺の細胞を移植する手法が注目されている。しかし再生に必要とされる肺前駆細胞の培養や品質維持に課題があり、実用化には至っていない。

 医学研究科の後藤慎平准教授らは実際の肺の組織中に近い状態を再現しようと、iPS細胞から変化させた肺前駆細胞を直径数百マイクロメートルのファイバー内で培養した。その結果、肺前駆細胞が肺胞になる上での重要な因子「SOX9」が高効率で発現した。さらにマウスにこの手法で培養した肺前駆細胞を移植すると、2カ月後も生体内に定着していた。細胞を調べると、肺胞上皮に近い性質を持っていた。

 後藤准教授は「今後、移植した細胞の機能を検討するなどして、知見を積み重ねていきたい」と話す。