エムケイのタクシー運転手(左)の解説を聞きながら伏見稲荷大社の鳥居をくぐる京都橘大の学生たち=京都市伏見区

エムケイのタクシー運転手(左)の解説を聞きながら伏見稲荷大社の鳥居をくぐる京都橘大の学生たち=京都市伏見区

観光客向けに刀剣をデザインしたラッピングタクシー(京都市右京区・大覚寺)

観光客向けに刀剣をデザインしたラッピングタクシー(京都市右京区・大覚寺)

 京都の大手タクシー会社が、貸し切りの観光ツアー企画を充実させている。従来は利用の中心だった観光客や修学旅行生が新型コロナウイルス禍の長期化で激減し、新たな顧客の開拓に迫られたためだ。観光利用の比率が高い京都のタクシー業界は回復のペースが鈍く、各社は若年層の取り込みなどに知恵を絞る。

料金を気にしなくても

 6月下旬、エムケイ(京都市南区)の観光貸し切りタクシーで、京都橘大の女子学生のグループが伏見稲荷大社(伏見区)などの名所を巡った。道中はガイド役の運転手が付き添い、建物や史跡について解説する。参加した学生(19)=大阪府豊中市=は「料金が気になって普段はタクシーを使わないが、豆知識を教えてもらえて新鮮だった」と笑顔を見せた。

 エムケイは、タクシーの新サービスやPR方法を若者の視点から考えてもらうため、同大学と連携した。意見を踏まえ、観光貸し切りタクシーの利用が少ない10~20代向けのプラン開発を進める。

 例年なら6月は全国から訪れる修学旅行生の利用で貸し切りタクシーの稼働率が高まっているはずだが、現在は「申し込みがほとんどない状態」(エムケイ)という。需要の消失で車両と人員が余る状況を逆手に取り、感染収束後を見据えて需要の創出に乗り出した。

感染流行前の41%に

 全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、京都府内のタクシー会社が計上した2021年6月の営業収入は、感染症流行前の19年6月比で41・8%の水準だった。インバウンド(訪日外国人)や国内旅行客による観光利用が多かっただけに回復が遅く、全国平均の61・1%とは20ポイント近い差がある。

 地場最大手の彌榮自動車(下京区)は、日本刀が好きな女性向けのツアーを企画し、9日まで実施している。北野天満(上京区)と大覚寺(右京区)が、源氏ゆかりの刀「鬼切丸」「薄緑」を公開していることに合わせ、両社寺を回る企画を思いついたという。

 車両に刀を描く「ラッピング」や記念カードを用意する力の入れようだ。「刀剣女子」と呼ばれる熱心なファン層は30~40代が中心で、連日予約が入っているという。貸し切り観光タクシーの利用が少なかった年代だけに、同社は「自らプランを企画し、利用者のニーズをくみ取ることで積極的に顧客層を広げていきたい」と話している。