東京五輪への意気込みを語る乾友紀子(京都市右京区・京都アクアリーナ)

東京五輪への意気込みを語る乾友紀子(京都市右京区・京都アクアリーナ)

 東京五輪のアーティスティックスイミング(AS)のデュエット・テクニカルルーティン(TR)が3日に行われ、近江八幡市出身の乾友紀子(30)=井村ク、近江兄弟社高―立命館大出=と吉田萌(26)=ザ・クラブピア88=組が4位となって4日のフリールーティン(FR)決勝に進出した。逆転を信じ、日本代表の主将を務める乾が2大会連続メダルに挑む。

 「今なら、あの言葉の意味が分かる」

 3大会連続の五輪となる乾には、二つの銅メダルを手にした前回リオデジャネイロ五輪以降、ずっと胸に残っている言葉がある。「そのメダルは私に言われた通りにして取っただけ。東京に向けた4年間は、リオまでと全然違うものになるよ」。ヘッドコーチ(HC)を務める井村雅代さん(70)から掛けられた言葉だ。

 湖国に生まれ、小学1年で競技を始め、小学6年から井村の下で厳しい練習を積んできた。日本が初めてメダルを逃した12年ロンドン五輪など苦難の時代を経て、リオでは日本の中心選手に成長した。銅メダルを有終の美と考え引退も考えたが「世界を見続けよう」と1日12時間を超える猛練習に挑む道を選んだ。

 井村HCが乾に課したのが、現在は五輪種目ではないソロの強化。1992年バルセロナ銅の奥野史子(同志社大出、京都市中京区出身)ら「日本の顔」が挑んできた種目だ。井村HCには狙いがあった。「乾の進化を止めてはいけない」

 乾は井村HCとソロの本場、欧州を転戦。指示を聞くだけでなく、演技内容に自分の意見を言うようになった。「この年になって初めての経験や発見がある。自分に対する感覚も鋭くなった」と言う。ソリストとして2019年世界選手権で銅メダルを獲得し、何人も名選手を育てた井村HCをして「乾は本物の一流」と言わしめた。

 ASを突き詰めてきた姿は他の代表メンバーのお手本でもある。この日のTRを終えた乾は「最後まで粘り強く、あきらめないで、私たちは挑戦しているという演技を見せつけたい」と言葉に力を込めた。孤高の存在でありチームの柱として、乾は自らの手で再びメダルをつかみにいく。