【資料写真】田中希実選手

【資料写真】田中希実選手

 東京五輪陸上の女子1500メートル準決勝が4日、国立競技場で行われ、同志社大4年の田中希実(豊田自動織機TC)が3分59秒19で第1組の5着となり、日本選手としてこの種目で初のファイナリストとなった。決勝は6日。田中は2日の予選で自らの日本記録を1秒75更新する4分2秒33をマークし、準決勝に進んでいた。

 田中は「4分を切らないと決勝は難しいと思っていた。今の自分の全力をぶつけようとして理想通りのタイムでいけた。決勝は(五輪は)毎回スローな展開になる。その展開でもラスト一周にこだわって走りたい」とレースを振り返った。

 五輪初出場となった田中は今大会で5000メートルと合わせて2種目にエントリー。最初の種目となった先月30日の5000メートル予選で決勝進出を逃し、残る1500メートルで決勝進出を目指していた。(記録は速報値)

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 5000メートルのレース後、「1500メートルは無心で走りたい」と語っていた田中。その素顔は、同大スポーツ健康科学部で学ぶ大学生でもある。競技を突き詰める一方で、授業もおろそかにしない。レースの合間に大学のオンライン授業を受け、合宿でも練習の空いた時間にリポートを書いた。「いい気分転換になっている」と勉強との両立を苦にしていない。卒業に必要な単位はほとんど取得し、卒業研究は「自分の感覚で調子を考えすぎて調子を落とすことがある。実際はどうなのかを知りたい」とテーマにコンディショニングを選んだ。

 最終学年の今年度は単位互換制度を使い、同志社女大のファンタジー文学の授業も受講。幼少の頃から親しむ児童文学の知見をさらに深めたいとの思いからだった。「後々の人生にこの経験が生きると思う。スポーツだけになってしまったら、競技を離れたときに道がない。苦手な勉強を突き詰めることも大事」と学生らしい表情ものぞかせる。

 同大の現役学生が五輪の陸上競技に挑むのは実に69年ぶりだった。大学の雰囲気を「ゆったりして、せかされる感じがなくて、すべて自分たちに任されている」と感じている。「5000メートルよりもどこまで通用するのか、確かめるような1500メートルにしたい」と、得意とする種目への決意を語っていた。

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 たなか・のぞみ 1999年、兵庫県小野市生まれ。小野南中、西脇工高で活躍し、2018年に同大に進学。父・健智さんが指導するクラブチームで練習を積む。19年世界選手権5000メートル14位。20年7月に3000メートルで、同8月には1500メートルで日本記録を塗り替え、以降も日本記録を連発。全国都道府県対抗女子駅伝には中学2年時から連続出場し、昨年1月の第38回大会は1区区間2位。