山西(左)と語り合う船越さん=2020年12月30日、西京極総合運動公園

山西(左)と語り合う船越さん=2020年12月30日、西京極総合運動公園

 札幌市で5日に行われる東京五輪の陸上男子20キロ競歩で、山西利和(25)=愛知製鋼=が日本勢初となる金メダルを狙う。長距離に取り組み始めた長岡第三中(京都府長岡京市)では府大会にも出られず、競歩を始めたのは堀川高から。京都大工学部に現役合格し、スポーツ以外の道に進む選択肢もあった。高校時代の恩師、船越康平さん(47)=現京都工学院高教頭=の情熱が山西に競歩を極める覚悟を固めさせた。

 船越さんは、山西が節目を迎える度に覚悟を問うてきた。高校3年で世界ユース選手権の出場権を得たものの、全国高校総体の3週間前という厳しい日程。船越さんは「物見遊山のつもりなら代表を辞退しよう」と厳しく促した。発奮した山西は世界大会優勝という目標をしっかり口に出し、両大会で頂点に立った。

 京大1年の夏には、練習環境の変化に戸惑う山西と語り合った。目標は学生日本一かと問いかけ「大学院に進み就職して社会に貢献する人生もある。陸上部の仲間もかけがえのない人生の財産だろう」と。一方で「競歩で世界一を目指したいなら、今の練習では足りない」と指摘した。

 船越さんは園部高まで野球少年で、都留文科大(山梨)で陸上を始めた。会社員生活の後、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊でアフリカのジブチへ。気温50度の暑さの中、陸上指導や連盟運営に携わった。世界大会の渡航先で亡命する選手や事務局員をぼう然と見送った経験もある。競技に打ち込める生活がいかに幸せなのか痛感しているからこそ、山西にも厳しく向き合ってきた。

 「(2024年の)パリ五輪まで勝ち続ける気持ちでやらないと、東京五輪は勝てないぞ」と山西に言い続けてきた。恩師の情熱で気持ちを奮い立たせてきた山西が勝負のスタートラインに立つ。