ゴール目前の直線で最後の力を振り絞る一山(7日午前8時29分、札幌市)

ゴール目前の直線で最後の力を振り絞る一山(7日午前8時29分、札幌市)

 持ち前の力強い走りで確かな足跡を残した。7日の東京五輪女子マラソンで、京都を拠点に活動する一山麻緒(24)=ワコール、本社・京都市=が8位でゴールした。日本勢として、2004年のアテネ五輪以来4大会ぶりの入賞を果たし、「これ以上、頑張れないところまで(練習を)やった成果。今日できる走りは最後までできた」。夏空が広がる札幌の街を駆け抜けた一山の言葉は潔かった。

 心地よい風が吹いた午前6時、さっぽろテレビ塔を背にスタートした。「なるべく長く先頭集団につく」というプラン通り、ケニア勢が主導権を握る集団の一角で食らいついた。カーブが多い北海道大構内のコース取りに注意し、ドリンクを両手で持って、こまめに給水するなど猛暑とも戦い続けた。だが、33キロ付近で「スピードの変化に体が対応できなかった」と集団から離され、メダル争いから遠ざかった。

 昨年3月に日本歴代4位の好タイムで代表切符をつかみ、直後に五輪延期が決定。当初は「1年間、練習が積める」と前向きだった。一方、五輪への逆風は強まった。応援してくれる人の喜ぶ姿を原動力にしていただけに、走ることへの葛藤が生まれ「精神的に疲れ、体は元気なのに気持ちが乗らない状態だった」と振り返る。

 それでもスタッフや家族らに支えられ、スタートラインに立った。ワコールの永山忠幸監督(61)が今まで以上にタイムや距離を厳しく設定した特訓に挑み、「やりきっての8番。(自分より)前を走っていた7人はやっぱり強いな」。世界との差を体感しつつ「心の中では監督にメダルをあげたい思いはあった」と惜しむ気持ちも打ち明けた。